「マネジメント=組織の管理」ではない...遠藤功氏が語る仕事を「いい感じ」にする方法
Z世代はコミュニケーションにおいても合理的なアプローチを好み、個人主義が強い傾向にあります。一方で、成果を出すと非常に熱くなります。そんな特性に寄り添いながら、チームでパフォーマンスを出すと仕事がますます楽しくなるのだと教えていくのが、マネージャーの役割でもあります。
本書で「チームを動かすのは熱・理・情である」と書きました。この熱とは目標達成のためのエネルギーの源泉です。同じ場所で一緒に働く機会が減ると、どうしても、その現場を共有するからこその連帯感を味わうことも、熱の伝染も難しくなってしまいます。
SNSのようにオンラインでのやりとりで熱の伝染がどこまで可能なのか。この点は未知数ですが、まずは若手社員がのびのびと意見をいえるような、「言える化」が可能な環境をつくることが大事な一歩だと思います。
経営コンサルタントだからこそ見える景色を文章で残したい
── 遠藤さんは現場三部作をはじめ、経営や組織論、マネジメント、そして 『新幹線お掃除の天使たち』のように強い現場を紹介するご本を数多く執筆しています。こうした継続的な執筆の原動力は何でしょうか。
経営コンサルタントの仕事はやりがいはあるものの、表舞台に出る機会は少なく、いわば黒子の仕事です。それでも何かを残しておきたいという気持ちに駆られていました。
経営コンサルタントの最大の価値は、さまざまな業種のさまざまなプロフェショナルたちと出会い、本質的に大事なことが見えること。自分にしか見えていない景色があるのです。その景色をなんとかして文章にして残しておきたい。それが私の使命感の一つでもあります。
30年もの間、一貫して大事にしてきたテーマは、「現場の力をいかに引き出すか」。数多くの現場を見てきて、強い現場には普遍的な真理があると確信しました。日本では、スティーブ・ジョブズのように突出して優秀なリーダーが現れることは少ないものの、平均的にまじめでコツコツ努力ができるという、他国に類のない強みをもっています。
たとえばトヨタが世界から信頼される車をつくり、いまのポジションを築けたのは、そうした強みを磨き、「現場力」を大事にしてきたからこそ。こうした日本企業ならではの強みを活かしていけば、グローバル競争のなかでも、日本企業はGAFAとは違った形で存在感を放てるのではないでしょうか。
一冊の本との出会いで人生が変わった
── 遠藤さんはビジネス書や経営書だけでも月に15冊以上読まれているとお聞きしました。これまで読まれた本を振り返ってみて、ご自身の人生やキャリアに影響を与えた本を紹介していただけますか。
30歳を過ぎたばかりの頃に読み、コンサルタントに転身しようと決意するきっかけをつくってくれた『変われ日本人 甦れ企業』という本です。