コロナ感染再拡大に大洪水、世界のサプライチェーンが崩壊の危機
台湾の物流企業OECグループの米中西部セールス・マーケティング担当バイスプレジデント、ニック・クライン氏は、アジアと米国の港湾に滞留する貨物を動かすことに同社が奔走していると説明し、処理が終わるのは来年3月以降になるとの見通しを示した。
自動車にまた試練
製造各社は操業がおぼつかなくなっている。
例えば自動車メーカーは、新型コロナウイルスの感染再拡大に起因する混乱のため、また生産停止を迫られつつある。トヨタ自動車は、部品が入手できないとの理由でタイと日本の工場で稼働を止めざるを得なくなったと発表した。ステランティスも、英国工場で多数の従業員が感染拡大防止目的の隔離を強いられた関係で、生産を一時停止した。
自動車セクターは今年に入って、世界的な半導体不足がたたって既に大打撃に見舞われている。今年序盤段階では、半導体不足は年後半に和らぐというのが業界の中心的な見方だったが、足元では一部の業界幹部が来年まで不足が続くと話している。
フォード、クライスラーと電気自動車(EV)のリビアンを取引先としている韓国のある部品メーカー幹部は、全ての製品に使われる鉄鋼の原料価格が輸送費上昇などによって跳ね上がったと指摘。「鉄鋼価格と輸送価格の上がった分を織り込めば、われわれの製造コストはおよそ10%高くなっている」とロイターに明かした。
その上で「われわれはコスト抑制に努めているとはいえ、状況は極めて困難だ。原料費だけでなく、コンテナ輸送量も高騰している」と語る。
欧州最大の家電メーカー、エレクトロラックスは、部品供給事情の悪化が進んで生産が抑制されていると発表。米ピザチェーンのドミノ・ピザは、供給網混乱が店舗建設に不可欠な設備の入荷に悪影響を及ぼしていると述べた。
米中ともに苦戦
供給制約は米国と中国に痛手を与えている。両国合計の国内総生産(GDP)は世界全体の4割を超えるだけに、世界経済の減速や原材料とあらゆる製品の価格上昇につながりかねない。