最新記事

世界経済

コロナ感染再拡大に大洪水、世界のサプライチェーンが崩壊の危機

2021年8月1日(日)08時54分

台湾の物流企業OECグループの米中西部セールス・マーケティング担当バイスプレジデント、ニック・クライン氏は、アジアと米国の港湾に滞留する貨物を動かすことに同社が奔走していると説明し、処理が終わるのは来年3月以降になるとの見通しを示した。

自動車にまた試練

製造各社は操業がおぼつかなくなっている。

例えば自動車メーカーは、新型コロナウイルスの感染再拡大に起因する混乱のため、また生産停止を迫られつつある。トヨタ自動車は、部品が入手できないとの理由でタイと日本の工場で稼働を止めざるを得なくなったと発表した。ステランティスも、英国工場で多数の従業員が感染拡大防止目的の隔離を強いられた関係で、生産を一時停止した。

自動車セクターは今年に入って、世界的な半導体不足がたたって既に大打撃に見舞われている。今年序盤段階では、半導体不足は年後半に和らぐというのが業界の中心的な見方だったが、足元では一部の業界幹部が来年まで不足が続くと話している。

フォード、クライスラーと電気自動車(EV)のリビアンを取引先としている韓国のある部品メーカー幹部は、全ての製品に使われる鉄鋼の原料価格が輸送費上昇などによって跳ね上がったと指摘。「鉄鋼価格と輸送価格の上がった分を織り込めば、われわれの製造コストはおよそ10%高くなっている」とロイターに明かした。

その上で「われわれはコスト抑制に努めているとはいえ、状況は極めて困難だ。原料費だけでなく、コンテナ輸送量も高騰している」と語る。

欧州最大の家電メーカー、エレクトロラックスは、部品供給事情の悪化が進んで生産が抑制されていると発表。米ピザチェーンのドミノ・ピザは、供給網混乱が店舗建設に不可欠な設備の入荷に悪影響を及ぼしていると述べた。

米中ともに苦戦

供給制約は米国と中国に痛手を与えている。両国合計の国内総生産(GDP)は世界全体の4割を超えるだけに、世界経済の減速や原材料とあらゆる製品の価格上昇につながりかねない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの

ワールド

ウ大統領、和平案巡り「困難な選択」 トランプ氏27
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中