最新記事

世界経済

コロナ感染再拡大に大洪水、世界のサプライチェーンが崩壊の危機

2021年8月1日(日)08時54分

IHSマークイットが23日発表した7月の米総合購買担当者景気指数(PMI)は4カ月ぶりの低水準にとどまり、年後半の成長が鈍化するのではないかとの観測を裏付ける内容だった。同社チーフビジネスエコノミストのクリス・ウィルソン氏は「短期的な供給能力問題が引き続き不安視され、多くの製造業とサービス業の生産を抑えるのと同時に、需要が供給を上回るのに伴って物価を押し上げている」と分析した。

各所で混乱

業界関係者への取材に基づくと、世界中の港湾で過去数十年目にしたことがないほどの貨物滞留現象が起きているもようだ。

中国の港湾施設運営業界団体は21日、貨物取り扱い余力は引き続き小さくなると表明。「東南アジア、インドその他の地域のメーカーが感染再拡大の影響を受け、一部の注文が中国に流れる動きになっている」と述べた。

米西海岸から内陸部向けの鉄道貨物輸送大手ユニオン・パシフィックは、トラックへの積み替え拠点であるシカゴへの消費財などの輸送を7日間停止した。専門家の話では、これはシカゴにおける貨物の大幅な滞留を緩和するのが狙いだが、ロサンゼルスやロングビーチ、オークランド、タコマといった港湾には重圧がかかるだろうという。

南アフリカでは、ケープタウンとダーバンのコンテナ積み出し港がサイバー攻撃を受け、港湾施設の世界的な混乱に拍車を掛けている。

揚げ句の果てに英国政府のアプリが、新型コロナ感染者と接触したとみられる数十万人の労働者に自主隔離を勧告したため、スーパーが店頭の商品不足に陥る恐れがあると警告したほか、一部のガソリンスタンドは休業を強いられた。

(Jonathan Saul記者、Muyu Xu記者、Yilei Sun記者)


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中