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ビジネスに名文はいらぬ...マニュアル的に必要十分な文章を書く3つの鉄則

2021年8月17日(火)19時14分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

この「メラビアンの法則」を文章に置き換えれば、文章は7%しか読まれないということかもしれない。一方で、文字は視覚情報でもあるから、文章全体の「見た目」(レイアウト)が55%を占めるとも考えられる。

中身を吟味する前に、パッと見の印象で、「読む」「読まない」は判断され、たとえ読み進められたとしても、読まれて当然と言わんばかりのスタンスで書かれたものを、最後まで読んでもらえる可能性はほぼない。

読み手はどんな性格でどんな立場にあるのか、どんな課題を抱えているのか。まずは相手を知る努力や準備が、「説得力」や「納得感」のある文章をつくる前提なのだ。

そもそも、相手に伝えるためには、「ファクト(事実)」「ロジック(論理)」「数字(データ)」の3つの要素が必要だ。小さな新聞記事であっても、必ずこの3つの要素で構成されている。白鳥氏が言うには、自分が書いた文章に、この3つが詰まっているかをまず確認することが、伝わる文章への近道なのだという。

相手の疑問に答えているか?

文章の書き方というと、まず「起承転結」が思い起こされるだろう。しかし、新聞記事の文章は「逆三角形」構造になっていることをご存じだろうか。多くの場合、記事の最初の段落に5W1Hの要素が含まれている。この基本情報が冒頭に配置され、その後も重要度が高い情報から配置されていく。

新聞記事は紙面が限られているため、締め切り間際に重要なニュースが入ってきたりすると、スペースに収まらない場合がある。そのため編集担当(整理部記者)が後ろから文章を削っていく原則があるためだ。

この形式の文章を書くために大切なことを、白鳥氏は「書き手が全容を理解していること」とする。でないと、「何をどう伝えたいのか」を一言(一文)で要約し、伝えたい要素から優先的に並べることができないからだ。組み立てがが「頑丈」であるかどうか、書き始める前に確認しておきたい。

こうしたシンプルな構造を頭に入れた上で、少し長い文章を書く場合に意識したいのは、①対比②理由③事例を充実させることだ。根拠(理由)や事例を挟み、結論を説明・補強する。そのためのテクニックの一つにPREP法(Point=結論→Reason=理由→Example=事例→Point=結論)がある。

PREP法は、いわゆる三段落構成のSDS法(Summary=要点→Details=詳細、Summary=要点)の「詳細」部分に理由や事例を加えて「要点」を補強したものと言える。白鳥氏はこれに、自分の主張への疑問や反対意見を想定し、それに対する回答をExample=事例の部分に入れていく構成を勧めている。①意見→②理由(なぜなら~)→③相手の反論予想(確かに~)→④反論(しかし~)という構成だ。

白鳥氏によれば、この構成なら自説を一方的に主張するのではなく、相手の言い分を受け止める印象になり、文章の説得力や納得感が格段に高まるという。独りよがりな主張ではなく、いろいろな立場にも目配りしていると思ってもらえるからだ。

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