最新記事

BOOKS

福岡市長が、「福岡市から日本を変える」ことにこだわる合理的な理由

2021年7月28日(水)18時31分
flier編集部

若者は、人生の大事な時期に、自粛を強いられて旅行もできず、見聞を広めることもできないのです。そんな危機的状況にもかかわらず、若者のかけがえのない時間が失われていることへの解決策が提示されていないばかりか、その議論すらされていない。

コロナ禍で明らかになった日本の構造的な問題に対する理解を深め、私たち一人一人がリテラシーを磨くことが、社会を変えていくうえではとても重要です。本書には、新しい挑戦をする人たちの後押しとなるよう、社会を変えるために知っておくべき日本の構造を示しました。

ある意味、コロナ禍で日本中が同じ苦しみを経験し、変化の必要性を痛感した今だからこそ、日本をアップデートする大きなチャンスです。この本を通じて、日本が、若い人たちにとって希望をもてる国に変わることにつながればと願っています。

210728fuku_02.jpg
日本を最速で変える方法
著者:高島宗一郎
出版社:日経BP
flierで要約を読む

破壊なくして創造なし

── 新しいビジネスを社会に実装させ、ビジネスの力で日本を変えたいという方もいると思います。最速で日本を変えるために何が必要なのでしょうか。

新しいものを創造する際には、まずは既得権を壊すことが大事です。日本では、現状を変えたくないと考える既得権者たちが、新たなチャレンジによるリスクを煽り、ライバルの参入を阻んでいます。だから、プロレスラー橋本真也さんの言葉を借りると、「破壊なくして創造なし」なのです。

人を動かすには、こちらの熱意と覚悟が問われます。そのうえで、新しいビジネスを社会実装させるには、政治の力学を知らなければいけない。

これまでにない製品やサービスであれば、今ある制度を変えないと市場に参入できない場合もあります。そうしたときには、製品やサービスの魅力をアピールすることが「表」の営業活動だとしたら、選挙活動やロビー活動によって有力者を味方にし、ビジネス環境を整えていくことは「裏」の営業活動といえます。この両方の営業活動が求められるのです。

政治家は制度をつくる側なので、政治家を味方につけて、使っていく発想が必要となります。また、世界では「ロビイスト」というロビー活動のプロを雇うことが普通ですが、日本ではそのプロも少なく、ロビー活動を学ぶ機会もほぼありません。もっとロビー活動の大切さが理解されるべきでしょう。

── 破壊するといっても、首長が既得権という壁に立ち向かうのはハードルが高いと思います。その壁を打ち破るために実践するとよいことはありますか。

戦いを挑むテーマを自分が勝てる範囲内におさめることです。本気で改革をするなら、それを断固として変えたくないと考える抵抗勢力と戦わないといけない。もし戦力が分散すると、目線が届かなくなり、弱い部分を突かれてしまう。だから自分自身の戦力を冷静に見極めないといけない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ガザ北部の病院、イスラエル軍による退去命令実行は「

ワールド

独クリスマス市襲撃、容疑者に反イスラム言動 難民対

ワールド

シリア暫定政府、国防相に元反体制派司令官を任命 外

ワールド

アングル:肥満症治療薬、他の疾患治療の契機に 米で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 5
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 8
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 10
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中