最新記事

年末商戦

ネット通販増加で複雑化 マーケティング担当を悩ませる小売各社「真の実力」

2019年12月27日(金)14時27分

当てにならない手掛り

「ブラック・フライデー」まで1週間を切ったある日、コアサイト・リサーチで高級品・ファッション部門担当のマネージング・ディレクターを務めるマリー・ドリスコル氏のもとに、百貨店のサックス・フィフス・アベニューからメールが届いた。デザイナーズブランドの財布など、小型革製品セールの告知であることに、ドリスコル氏は注意を引かれた。

プレゼント用に使われることの多いこの種の製品の売れ行きが不振なのだろうか。ドリスコル氏はそう考えた。

だが、サックスはそうした見方を否定する。

「顧客宛てのメールをもとに、商品カテゴリー別の売り上げを推計するのは間違いだ。購買嗜好に基づき、顧客それぞれに合った商品を勧めている」と、サックスの広報担当者は言う。

コンシューマー・グロース・パートナーズのジョンソン氏は最近、ノードストロームを訪れるときは、インスタグラム上で誕生したファッションブランドがいくつ出店しているかに注目している。それによって、スマートフォンでブランドを検索する若い買い物客に、どれだけ対応しようとしているかが分るからだ。

関係者によると、ノードストロームでは商品ラインをそれぞれ差別化するため、新ブランドの立ち上げ、限定販売のブランドや新興ブランドとのパートナーシップの拡大といった機会を探っているという。

視界ゼロでの飛行

全米小売連盟は、今年のクリスマス商戦の米小売売上高を前年比約4%増の7307億ドルと予想している。だが、アドビ・アナリティクスがすでに発表した11月1日から12月19日までのオンライン売上高が13.6%増の12560億ドルであることを思えば、この伸び率はいかにも見劣りがする。このオンライン販売のうち、35.3%はスマートフォン経由によるものだ。

アナリストたちは、小売企業が提供する情報が少なすぎ、タイミングも遅すぎるため、非常に限られたデータから結論を導かざるをえなくなっていると指摘する。

「クリスマス商戦の実態が完全に判明するのは数カ月先だ。(小売企業が)実際に発表するまでは、視界ゼロで飛んでいる状態だ」と、17年間にわたってムーディーズの小売業界アナリストを務め、ウォルマートやターゲット、ベストバイといった企業の分析を担当してきたチャーリー・オシア氏は言う。「小売企業が話題にするのは売上高だけ。だが、我々が知る必要があるのは、彼らがどれだけ利益を上げたかだ」

オシア氏によれば、オンラインショッピングについては、第三者の売上高データやアドビ・インサイトのデータを利用することもあるという。

「私たちが見せられているのは多種多様な材料が使われた、ごった煮のようなものだ。そこから1つの推論を描き出そうとしている」と、オシア氏は話す。

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相、応援演説で円安メリットに言及 米関税のバ

ワールド

米政府機関の一部が閉鎖、短期間の公算 予算案の下院

ビジネス

中国1月製造業PMIが50割れ、非製造業は22年1

ワールド

トランプ氏、労働統計局長にベテランエコノミスト指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 2
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中