最新記事

リーダーシップ

HBS教授が教える、「使える部下」の育て方(前編)

2015年8月10日(月)16時30分

 こうして彼らは身を守り、防御を固めます。そして、自分の派閥に属していない有能な部下や同僚には「近寄るな」といわんばかりの態度を取ります。残念なことに大抵の場合、彼らは優秀な人材を社外へ追い出し、会社にではなく、自分に忠実な社員をリーダーに抜擢します。こうして偏った上層部が結成されると、大きな盲点ができ、適切な判断ができなくなります。

 一般的に、判断力のズレが明らかになるのは、何か深刻な事態が起きたときです。深刻な事態が起きる頃には、状況を修正するにも、とうに退社した有能な人材を呼び戻すにも、手遅れという場合がほとんどです。結果的に会社は深刻なダメージを負い、長い間苦しむことになります。

 公開会社の場合、この種の問題がないかチェックして、後継者育成プロセスの透明性を確保するのは上層部、ひいては取締役会の仕事です。それには定期的な配置転換が効果的ですが、これは何よりも派閥の予防になります。しかし、一番効果的なのは、まずは優れたリーダー候補を育てるために尽力し、多様性を受け入れられるリーダーを育てることで、派閥や取り巻きの形成を防止することです。

優秀な社員がいない?

 優先度の高い業務に思うように時間をかけられずに苦労しているリーダーをよく見かけます。彼らは多くの仕事を抱え込み、いつも過労ぎみで、会社が抱える大きな問題について考える余裕もないように見えます。そこで私が「優先度の低いタスクを有望な部下に任せては?」と提案すると、「そうしたいのはやまやまなんですが、うちの会社にはあてになる社員がいなくて......」との返事が返ってきます。そしていつも、CEOなり部門長なりが、有望な人材を採用し、育成し、会社に定着させるのがいかに難しいかを延々と語るのです。

 これは、関係者全員にとって危険かつ不健康な状況と言えるでしょう。とりわけ、すべての責任を追うリーダーにとっては致命的といえます。重要な管理業務を任せられるような優秀な社員がいない――そのような状況に陥った場合は、二つの可能性が考えられます。

【可能性その1】あなたの認識は正しい。優秀な社員が少ない。
【可能性その2】あなたの認識は間違っている。優秀な社員がいるのに、あなたが使いこなせていない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米ロ、軍高官対話4年ぶりに再開へ アブダビ三者協議

ワールド

中国が金など裏付けのデジタル資産を開発しても驚かな

ワールド

トランプ氏、薬品割引サイト「トランプRx」を5日発

ビジネス

英中銀総裁、3月利下げ確率予想「50対50は悪くな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 6
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 7
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 8
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    習近平の軍幹部めった斬りがもたらすこと
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    日本はすでに世界有数の移民受け入れ国...実は開放的…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中