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バルマーがまだMSにいたなんて驚き

2013年9月4日(水)15時11分
ダニエル・グロス(ビジネス担当)

「退職金」は7.7億ドル

   ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、アメリカを代表する企業とされるフォーチュン500社のCEOの平均在職期間は4.6年。13年以上というバルマーの在職期間は異例中の異例だ。

 バルマーがCEOに就任した00年当時、アメリカの大統領はビル・クリントンだった。アップルは売れないパソコンメーカーで、グーグルは創業から2年足らずの新興企業。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグはまだ15歳だった。

 市場はかなり前から、バルマーを見限っていた。大手日用品メーカー出身で、長年にわたりビル・ゲイツの忠実な右腕だったバルマーは、革新的なテクノロジーを生み出すタイプの経営者ではない。事業部門の分社化や不採算事業からの撤退といった大胆な構造改革を断行するタイプでもない。

 過去数年のMSは業績好調とは言えなかったものの、他の大手企業のような内部崩壊は起こさなかった。きちんと配当を出し、利益を上げ、多くの従業員を雇い、消費者が好みそうな製品を作り続けた。つまり、バルマーは受け継いだ遺産を台無しにはしなかった。

 バルマーのCEO退任が発表されると、MSの株価は約1割上昇し、時価総額は200億ドルほど増えた。次のCEOはMSの資産とブランドをもっと上手に活用できると市場が考えている証拠だ。

 一方、バルマーが保有する3億3300万株以上のMS株の価値は、退任発表後の株価急騰で7億6900万ドル増えた。MSとバルマーの別離は、双方に利益をもたらす「円満離婚」なのかもしれない。

[2013年9月 3日号掲載]

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