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スキャンダルガイトナー財務長官にAIG口止め疑惑
公的資金で救済されたAIGに対し、一部の情報を開示しないようニューヨーク連銀が圧力を掛けていた。当時の連銀総裁ガイトナーに責任はあるのか
米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は08年秋、自社が受け取った公的資金のうち620億ドルを他の金融機関に支払った。これまで同社はその詳細を明らかにしてこなかったが、1年以上たってその理由が分かった。ニューヨーク連邦準備銀行が口止めをしていたのだ。
この衝撃の事実が、当時の同連銀総裁で、これまでウォール街とのなれ合いを批判されてきたガイトナー財務長官に新たな難題を突き付けることは間違いない。
1月7日に下院監視・政府改革委員のダリル・アイサ議員(共和党)が公開した、08年11月から5カ月にわたる一連の電子メールで経緯が明らかになった。
AIGは大手金融機関にデリバティブ(金融派生商品)のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を販売していた。ニューヨーク連銀はAIGに対し、CDS契約の詳細や、これら金融機関にAIGが契約の全額を支払うと決めた経緯などを、証券取引委員会(SEC)に開示しないよう指示していた。
メールの中には、AIG側の弁護士が情報開示を主張して抵抗したくだりがある。AIGがSEC対ニューヨーク連銀の攻防の板挟みになっていたことも分かる。
財務省と連銀はガイトナーを擁護するが
AIGも連銀も違法性は問われていないようだが、アイサは声明でこう述べた。「透明性の欠如だけでも憂慮すべきだが、より重要な問題は、なぜニューヨーク連銀が納税者のために戦わなかったのかということだ」
メールの大半がやりとりされた08年11〜12月当時、ガイトナーは同連銀の総裁だった。財務省と連銀は、ガイトナーはオバマ政権入りを見越してこの件には一切関わらなかったと主張している。それでも下院監視・政府改革委員長のエドルファス・タウンズ議員(民主党)は、1月下旬の公聴会にガイトナーを呼び出すと発表した。
財務長官に就任すれば、1820億ドルが投入されたAIG救済に対処することが確実だったガイトナーが、この件をまったく知らなかったとは考えにくいとの声がある。それに、もしガイトナーがAIGに関するあらゆる情報に耳を閉ざしていたとしたら、それは職務放棄ではないだろうか。
[2010年1月20日号掲載]