コラム

ついに学生向けも。23区内に続々登場するwithコロナ対応賃貸マンションの斬新さ

2022年08月30日(火)14時41分

「コムレジ赤羽」では各共用施設と中庭で他の居住者とふれあうことができ、随時開催されるイベントにも参加できる。

sakurai20220819160708.jpg
「コムレジ赤羽」の中庭。部外者は立ち入ることができない安全な空間だ。筆者撮影

コロナ禍で、人と人との結びつきの大切さを改めて実感した人は多い。その「結びつき」を安全につくり出す賃貸住宅になっている......この発想が何より新しい。

セキュリティに関する工夫も最先端のものに

一方で、「コムレジ赤羽」では、セキュリティに関しても最先端の工夫が採用されている。

エントランスのオートロックは顔認証で解錠される。マスクをしたままでも認識されるようになっているので、手間がかからない。コロナ禍で広まる非接触方式を進化させているわけだ。

学生棟では、エレベーターも顔認証で利用する。エレベーター前に設置されたカメラが居住者を確認してエレベーターを呼び、扉が開く。そして、自分の住戸があるフロアに停止する。

「コムレジ赤羽」の学生棟には女性専用フロアもあり、エレベーターは自分の住戸があるフロア以外停止しない。オートロックに加え、エレベーターでもセキュリティが高められている。

ちなみに、学生棟では、居住者以外が住戸に入ることを禁止している。親としても安心だろう。

このほか、コロナ禍で増える宅配物は、顔認証により着荷を音声で教えてくれるシステムも採用される。

さらに、「コムレジ赤羽」では、自然災害への対策も最先端となる。

気象情報や地震情報をアプリで確認でき、災害時には事前に登録した家族に安否情報が発信される、といった工夫が採用されるのだ。

建物は基本的に頑丈な鉄筋コンクリート造なので、そのことの安心感も大きい。

月額家賃は、8万円からの設定

最先端の工夫を凝らした「コムレジ赤羽」学生棟の家賃は、月額8万円から9万5000円で、別途共益費が月額1万円、電気代7000円で、合計9万7000円から、となる。

sakurai20220819160709.jpg
学生棟の住戸は13.50平米から17.85平米の広さ。シャワールームもしくはユニットバス付きとなり、洗面台が備えられる。筆者撮影

日本政策金融公庫が毎年発表している「教育費負担の実態調査」令和3年度版では、東京の大学に通う自宅外通学の大学生への仕送り額は平均で1年間に約96万円。1ヶ月あたり約8万円だ。他の調査では、1ヶ月あたり12万円という結果もあるので、月に8万円から12万円が平均的な仕送り額といったところだろう。

そのうち家賃に費やすことができるのは、6万円から10万円くらいか。そこから計算すると、「コムレジ赤羽」の学生棟は誰でも入居できる家賃設定とはいえない。一部の学生に手が届く家賃水準だろう。

それでも、社会人棟住戸の家賃・共益費・電気代の合計が12万7000円からであることと比べると、学生棟の家賃は抑えられている。

新大学生にとっては、なんとか手が届く、東京23区内の夢の住まい、というべきか。

※当記事はYahoo!ニュース個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら

プロフィール

櫻井幸雄

年間200件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。・公式サイト ・書籍/物販サイト

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story