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住所もヤバければ、名前もヤバい、マイナカード問題の難しさ
最大の問題は、そもそも住所のルールが一定でないということです。戸籍は番地までで「号」はないという問題がまずあります。つまり「1丁目1番」までで、「1号」は入りません。では、住民票はどうかというと、一応「号」まで入るケースが多いと思います。問題はその先で、集合住宅の「部屋番号」を住所の枝番として入れるかどうかは「任意」という自治体が多いようです。
つまり、「1丁目1番1号Aマンション101号室」に住んでいる人の住所データについて、「1丁目1番1号Aマンション101号室」で統一するのか、いちばん簡単な「1−1−1−101」にするのか、あるいは部屋番号は入れないで「1−1−1」にするのか決まっていないのです。
あとは下宿や間借りをしている人の場合に「誰々方」という表示をする場合があります。この「方」というのは、郵便の配達住所としては必要な場合がありますが、戸籍には入れないし、住民票も普通は登録しません。ですが、これもハッキリさせておくべきだと思います。
そう考えると、せっかく巨額の経費を投入してシステム開発をしても、そもそも基本となるデータが不揃いであり、入力ミスをほかのデータとの照合などで修正するのも難しいとなると、DXによる省力化、生産性向上には限りがありそうです。
フリガナも英文表記もない
河野大臣は「AIを使って住所表記の『ゆれ』を吸収する」などと発言していますが、「日本の住所はヤバい」という問題の深刻度を本当に認識しているのかは怪しいと言わざるを得ません。
マイナで問題なのは「住所」だけではありません。実は「名前」も「ヤバい」と言えます。まず、日本人の場合ですが、マイナカードに入るのは、漢字(またはカナ混じり)の戸籍名だけです。恐ろしいことに、カタカナのフリガナも、英文ローマ字表記もありません。フリガナがないということは、銀行の口座名義人との自動紐付けも、名寄せによるチェックもできないということです。
保険証データとの照合も、こうした問題のために「手入力」が起きているのなら問題です。また英文ローマ字表記がないということは、パスポートの英文表記との照合は不可能です。仮に現在のマイナのシステムは、このままでは使えないということになり、巨額の資金を投入してシステムを改修するのであれば、マイナにカタカナのフリガナとローマ字表記も入れて、運用するようにするということも考えられます。そうすれば、個人の特定ということの精度は高まります。
とにかく日本の場合、住所も名前も「ヤバい」のであって、本来はシステムを作る過程で制度も変更して、相当な程度クリーンなデータにしてから登録するという運用が考慮されるべきだったと思います。
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