コラム

日本の「コロナ出口戦略」における3つの問題

2022年11月30日(水)15時00分

仮にそうであれば、こうしたグラデーションをそもそも認めるところから出発したらどうでしょうか。つまりこの多様性のある状態をそもそも認めてしまうのです。その際に、感情論派はメンタル分野のハイリスク層だと考えれば、高齢者や既往症のある人と一緒のグループとして考え、そしてその存在を認めることができます。

つまり、対策の強度として、10のグループ、8のグループ、6のグループが多様性として存在するということを相互に認め合うのです。その上で、例えばオミクロンで飛沫対策は意味が薄くなったとか、治療薬が普及して重症化リスクが抑制できた、あるいは感染経験+ワクチン接種の全体として集団免疫の壁がやや機能し始めたといった「全体的な対策の必要性」が変化したら、対策の強度が「10、8、6」だったのを「7、5、3」に緩和するように政府やメディア、地方、教育現場などで誘導するのです。

もちろん、多様性の確保といっても、人種や性自認などのように絶対的な平等性が理念として確立している問題とは違います。特に高リスク層や、敏感な感情論層からは、感染対策を緩和しているグループは「感染拡大を許す脅威」と見られがちですし、反対に対策緩和派からは感情論から「安心」にこだわる層は「非科学的で経済と社会の敵」として批判されてしまいます。

ですが、どう考えても日本の場合は中途半端な集団免疫と、中途半端な接種率を抱えて、これからもコロナ対策は長期戦になりそうです。その長期戦を「気が付いたらノーマルに戻っていた」とするためには、やはり相互に多様性を包摂するという姿勢が必要と思われるのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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