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「サイエンスは暗記物ではない」ノーベル賞物理学者、真鍋博士の教育論
気象学のような「古典物理学」がノーベル賞で評価されるのは珍しいという(昨年12月に米ワシントンで受賞メダルを受け取る真鍋博士) Kevin Lamarque-REUTERS
<大学入試対策の結果として、日本では文系志望の学生が物理、化学を敬遠するようになってしまった>
大学入試の季節がやってきました。今年の場合は受験生にとっても、実施側の大学にとっても、寒波とコロナ禍への対応が特に大変だと思います。大学入試と言えば、ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎博士と対談した際に、博士が入学試験や科学教育について語っておられたことが気になっています。
この対談では「問題を提起する能力が日本の教育には必要」だという議論がされて、このメッセージを中心に朝日新聞の記事でも取り上げられています。
記事の中でも真鍋博士が「入学試験のための勉強」を批判されているコメントが紹介されていますが、対談の中ではもう一つ「サイエンスは暗記物ではない」という重要な提言もされていました。入試の季節にあたって、この博士のメッセージについて考えてみたいと思います。
真鍋博士の専門は気象学ですが、国際的な学問のジャンル分けとしては「地球物理学」になります。この地球物理学は、同じ物理学の中でも「理論物理学」ではなく「応用物理学」に属しており、同時に「古典物理学」に属しています。ちなみに「古典物理学」と言うのは、ここでは「原子や分子より極小の量子を扱う量子論」と、「相対性理論」は含まない物理学という意味です。
日本では気象学は地学
真鍋博士によれば、現代のノーベル物理学賞というのは量子論や相対性理論以降の現代物理学の成果を対象としたものが主で、自分のように古典的な物理学を扱っている研究が認められるのは珍しいとおっしゃっていました。
例えば、今回の受賞が「完全なサプライズだった」というのは、2018年にノーベル賞と同格と言われている「クロフォード賞」を既に受賞していたからということもありますが、同時に「古典物理学」がノーベル賞を取るということは想定していなかったという意味でもあるそうです。
一方で、日本の高校生にとっては気象学は物理には属していません。地学という特殊な科目の一部となっていて、天文学、地質学と一緒に学ぶことになっています。真鍋先生によれば、その結果として「サイエンスが暗記物になっている」のは問題だというのです。
真鍋博士によれば、気象学とは、地球の大気の動きを運動方程式を使ってシミュレートする学問であり、物理の基礎と数学という道具がなければ理解は難しいし、「何故?」という好奇心をバネに説明や発見を試みることもできないわけです。運動方程式を抜きにした天文学、化学の知識を抜きにした地質学というのも同様です。
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