コラム

自民党総裁選、3つのサプライズ

2021年09月15日(水)15時00分

2つ目は、時間の感覚です。まず、ネットの発達により事実関係でいい加減なことを言ったり、無茶な主張をすると瞬速で叩かれる時代となりました。候補がテレビ番組や演説などで行った発言は、ほとんどリアルタイムで報じられてSNSでの評価を受けます。その意味で、猛烈にスピード感のある選挙と言えます。

その一方で、今回は総理の不出馬表明で事実上の選挙戦に入ったのが9月3日、告示が17日で投開票が29日ということで、選挙戦が極端に長くなっています。ということは、発言が瞬時に伝わって瞬時に評価を受ける一方で、延々と選挙戦が続くという奇妙な時間感覚になっています。これは悪いことではなく、政策論争がさらに研ぎ澄まされていく可能性があると思います。

3つ目は、民意の反映ということです。今回は、多くの派閥が自主投票となり、この点については、派閥の求心力が揺れているといった解説がされています。ですが、これは総選挙が間近に迫る中で、各議員が自分の選挙区の民意を考えて行動している、そのための現象と考えられます。

ということは、間接的にではありますが、今回の総裁選には相当程度の民意が反映すると考えられます。仮にそうであれば、そして、各議員の選挙区事情やネットの世論などを相当に反映した結果の選択が、就任後もしっかり期待に応えることができれば、こうした傾向が加速することも考えられます。そうなれば、今後は段階を踏んでより本格的な予備選のような制度へと進めることもできるのではないでしょうか。

そんな観点から、今回の総裁選を見ることができると思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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