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東京五輪に1300億円支払っている米NBC、その報道姿勢が意外に冷静な理由
独占中継権を持っているNBCなら「盛り上げ」モードになってもおかしくないが Issei Kato-REUTERS
<場合によっては期間中に「中止」になる事態もおそらく想定している>
東京五輪が間近に迫ってきましたが、アメリカのメディアは盛り上がっていません。もっとも、アメリカの場合は五輪の中継権はNBC一社で独占していますから、NBC以外のテレビ各局が、五輪に対して冷ややかなのは通常モードです。
そのNBCの契約ですが、IOCとの間で結ばれているのは、東京、パリ(2024年)、ロス(2028年)までの長期契約で、そのうちの東京の分が約1300億円(12億ドル)と言われています。このように巨額のマネーが動く背景には、アメリカ人の「オリンピック好き」という性格があります。
アメリカ人のスポーツへの関心は、平常時ですと、四大スポーツとされる「野球、アメリカンフットボール、バスケ、アイスホッケー」が中心です。ただ、オリンピックが始まって「チームUSA」が活躍しだすと、突如として熱狂が始まり、NBCとしては「元が取れるビジネス」になってきました。
そのNBCは、毎回、自局のエース級のキャスターを派遣して、現地から様々な中継を行うのを通例としています。今回も、朝の情報番組『トゥデイ』のメイン・キャスターであるサベナ・ガスリー氏がすでに東京入りしています。ガスリー氏といえば、本職は政治ジャナーリストで、歴代の大統領や大統領候補への単独会見を何度も行なってきた大物で、開会式の中継などに参加すると見られています。彼女にやや遅れて、NBCの看板キャスターはほとんどが東京入りするようです。100名を超える各競技の解説陣も発表されています。
最悪の場合に備える
そんな中で、五輪を取り巻く環境はより厳しさが増しています。例えば、日本時間20日にIOC総会の後に行われた組織委の会見について、ロイター電は「武藤事務局長、中止を排除せず」という見出しで紹介していました。ネットに上げた記事には動画がついており、組織委の土肥美智子医師、福井烈団長のコメントを切り取って「万全の対策をするが、最悪の場合は開催の再検討もある」という姿勢だという編集にしていました。
ある意味では局外中立的なロイター電としては、そのような「最悪の場合に備える」という報道になるのは理解できます。では、独占中継権を持ち、利害関係にがんじがらめになっているはずのNBCはどうかというと、これが似たり寄ったりなのです。
例えば、ガスリー氏が東京入りして早速取り上げていたのは、今回の大会の「チームUSA」の中でも最も話題性の高い女子体操チームでPCR陽性者が出たというニュースでした。これは、19日月曜日の朝の「トゥデイ」ではトップ扱いで大きく取り上げられていました。
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