コラム

就活ルール、問題は日程ではないのでは?

2018年09月13日(木)19時30分

現在、高校から大学への教育内容の「接続」という問題が話題になっていますが、「大学から職業へ」という接続は、日本の「文系」の場合は、今でもほとんど機能していないように見えます。

つまり、東洋哲学なり、美術史なりといった専攻が、その分野の職業ニーズよりも過大な定員を抱えていて、卒業生の多くを「職業教育は企業で」という期待を込めて社会に送り出すというのは、やはり無理があるのではないでしょうか。

大学で身に付いたスキルが評価されない、そこで無関係な「総合職ないし一般職志望」ということで就職活動を行う、その結果として、就活が通年になって大学教育に無理が出てくるというサイクルが今はあります。その悪循環、あるいは学生の間にある絶望的な「将来不安」を断ち切るには、大学で即戦力となるスキルが学べる、その上で大学で学んだスキルの質を評価することで採用選考が行われるというのが一番フェアだと思います。

そこを改革しないで、企業側と大学側がいつまでも綱引きを続けるというのは、何とも不毛な争いのように思われます。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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