- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 人種分断と銃蔓延に苦悩するアメリカ
人種分断と銃蔓延に苦悩するアメリカ
ルイジアナとミネソタの事件に対しては、全米で「警官の暴力反対」という主旨の抗議行動が続いていますが、ダラスの事件では「全く正当化のできない報復テロ」が起きてしまったために、人種問題をめぐる議論は複雑化しています。
論点の一つは、「ルイジアナとミネソタの事件に対する黒人側の抗議行動が過剰であったかどうか?」という問題です。つまり「過激な動画を拡散し、怒りを爆発させた」ことが「心に闇を抱えた退役軍人の異常な報復テロ」を触発したのではないか、という批判です。
この点については、2014年から全国的な運動として広がってきた「Black Lives Matter (BLM)」という運動への賛否が論争になっています。black lives というのは複数形で「黒人の生命」ということであり、最後の matter というのは動詞で「それは重要だ」という意味です。日本語に意訳すると「全ての黒人の生命は尊重されるべき」運動ということになります。「自分たちが殺されるのはおかしい」という非常に明確なメッセージを発するために立ち上がった運動です。
このBLMは、ルイジアナとミネソタの事件を受けて抗議行動を強化していますが、右派からは強い批判があります。例えばサラ・ペイリンなどは「BLMこそ人種分断の元凶。その自覚がない以上は狂言回しに過ぎない」という言い方で批判をしています。一部には、BLMは「暴力で白人を迫害しようという新ブラック・パンサー党と提携している」というような中傷もあります。
注目されるトランプ候補について言えば、一連の事件が起きる前は一貫して「正しいのは警官。自分は100%警官の側に立つ」と言ってきましたが、さすがに今の状況ではそんな無責任なことを言うわけにはいかないのか、本稿の時点では言動を控えているようです。
【参考記事】リングと米社会で戦い続けた英雄アリが語った奇跡の一戦
もう一つの論点は、そもそも「白人警官による黒人射殺事件は、どうすれば防止できるのか?」という問題です。
この点については、アメリカでは「政治的な配慮」からオブラートに包んだような言い方しかされていないのですが、私には少なくとも次の3つの問題があるように思います。
1つは、黒人独特の言語やカルチャーについて白人警官が正確に理解できていない、そこで多くの局面でコミュニケーション上の誤解が起きていることです。ルイジアナの事件では巨漢の被害者に対して白人警官の2人が「馬乗り」になっていましたし、ミネソタの事件では被害者は決して反抗的ではなかったようです。
言語面のコミュニケーションが上手くいかず、被害者なりの「反抗姿勢」の「危険度」が警察官に正確に伝わらなかった、そこでおそらくは「殺意と誤解され」たのだと思います。その背景に、多くの黒人家庭で子供に対して「卑屈になるな」と厳しく教育していることがあります。結果的に、言葉の強さや独特のアクセントを理解しない白人警官は大変な誤解をして「身の危険」を感じてしまうのです。
日本の次期首相に絶対的に必要なのは「円を守り抜く信念」 2025.10.15
いよいよ現実のものになった、AIが人間の雇用を奪う時代 2025.10.08
AI就職氷河期が米Z世代を直撃している 2025.10.01
クールジャパン戦略は破綻したのか 2025.09.24
日本の新政権が向き合うべき、安全保障の「ねじれ」というアキレス腱 2025.09.17
「物価高対策と財政規律の間の最適解」──ポスト石破に求められる最重要課題 2025.09.10
アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える 2025.09.03
-
人事マネージャー候補/外資系大手オンラインメディア企業
株式会社クリーク・アンド・リバー社
- 東京都
- 年収750万円~950万円
- 正社員
-
外資金融機関での施設警備員年収472万可能/賞与支給/教育制度あり/稼げる仕事/夜勤あり/経験歓迎
株式会社G4S Secure Solutions Japan
- 東京都
- 年収442万4,000円~472万円
- 正社員
-
外資金融機関での施設警備員/経験者/簡単な作業/賞与支給/月収366,450円可能/夜勤あり
株式会社G4S Secure Solutions Japan
- 東京都
- 月給35万円~37万円
- 正社員
-
外資金融機関での施設警備スタッフ年収472万可能/高収入/賞与支給/丁寧な研修あり/夜勤あり/経験者OK
株式会社G4S Secure Solutions Japan
- 東京都
- 年収442万4,000円~472万円
- 正社員