コラム

やっぱり日本は終わりだ

2020年03月03日(火)13時25分

第二の批判は、教育は学校だけではない。むしろいい勉強の機会だ。いまどき学校よりも勉強の効率の良い手段は沢山ある。学校の授業なんて教育の一部に過ぎないし、その代替手段もたくさんある、というものだ。

これこそ、わたくしが、日本が終わりだ、と絶望した理由だ。

日本社会では「教育」という言葉は大好きだが、教育自体には関心がない。重要と思っていない。この書き方に反発を覚える人たちも「多くの人々は学校教育は重要でないと思っている」というわたくしの批判に対しては、そうだよ、学校教育にいまさら何を期待しているの、というに反応するだろう。

それが日本の終わりなのだ。

学校教育が重要でない社会。そんな社会は終わりだ。世界中どこにもない。学校教育は重要だが、国の予算がなくて、教師の人材不足で、インフラが整わず、とか、そのような貧しい国は多くあるが、学校教育が重要でない、授業が重要でないと社会の多数派が思っている社会はこの世に存在しない。

今の日本だけだ。

もっと教育の中身を問え

学校での教育がもっとも価値のあるものであるから、わざわざ学校を作って、義務にして、義務は9年間、多くの人は12年間、半数以上は16年間学校教育を受けている。人生の16年間をそれほど価値のないものに費やされるというのは、効率が悪いどころか、完全に他の社会に置いて行かれる。

学校の側に原因がある、ろくな教育をしていないなら、もっとそれに怒りをぶつけるべきだ。なんでもっとよい教育をしないのかと。入試制度の変更に騒ぐよりも、授業そのものの内容、質、効率性を批判し、提言をするべきだ。

やはり、社会として、学校教育、とりわけ学校の授業は役に立たないと思っているのだ。

だから、やっぱり日本は終わりなのだ。

第三の批判は、私の傲慢な人格、読者のテイストに合わない文章の書き方、頭の悪さ、に対するものだ。これは記事の内容には無関係なので、日本が終わりという結論には変わりがない。

私個人への批判は、今後もいつでもどうぞ。

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story