美人女給は約100年前に現れた──教養としての「夜の銀座史」

写真はイメージです kazuma seki-iStock
<アニメ『文豪ストレイドッグス』の舞台となった銀座の老舗バー「ルパン」は、95年前、カフェーの女給が開業した。「女給」とは何か。その知られざる歴史を紐解く>
もし、昔の銀座にもどってお酒を飲めるなら、1928(昭和3)年がおすすめだ。関東大震災で焼け野原になった銀座が復興を果たし、「新銀座」が姿をあらわした時期である。世界恐慌や昭和恐慌が起きる前でもあるので、明るい気分で銀ブラを楽しめるにちがいない。
銀座5丁目の老舗バー「ルパン」が開業したのも1928(昭和3)年のことである。「ルパン」は当時の趣のまま営業を続けている銀座で唯一のバーと言ってよいだろう。
昭和初期のノスタルジックな空間に包まれて飲むお酒は格別に美味しい。銀座を愛する紳士淑女に支持され、今年で創業95周年を迎える。「ルパン」は戦前のバー文化を現在に伝える大人の店である。
しかし最近では、常連さんたちに交じって新たな客層が集まっている。「ルパン」がアニメ「文豪ストレイドッグス」の舞台となったことで、アニメファンが国内のみならず海外からもやってくる。
いわゆるアニメの聖地巡礼のひとつとなっているのである。昔からの常連に加えて、アニメファンや外国人観光客を分け隔てなく受け入れる「ルパン」の懐の深さには脱帽である。
そもそも「ルパン」の聖地化は今に始まったことではない。「ルパン」には聖地としての顔がいくつもあるのだ。店のカウンターで撮影された太宰治、坂口安吾、織田作之助のポートレート写真は有名で、彼ら無頼派の文学ファンにとって「ルパン」は憧れの場所である。
もちろん推理小説・怪盗ルパンのファンにとっても、一度は足を運んでみたい場所だろう。路地裏に光る「ルパン」の看板は、不思議と怪盗ルパンと目が合ったような気がして、店に入らずともつい写真を撮りたくなる。看板デザインという点でも「ルパン」は聖地である。
女給だったが独立し「ルパン」を開業したなつさん
かく言うわたしも「ルパン」を聖地とあがめるファンのひとりだ。わたしにとって「ルパン」は〝女給″の聖地なのである。
〝女給″とは、カフェーで働いていたウェイトレスのかつての呼び名である。この言葉はやがて蔑称として使用されるようになったため、現在ではほとんど目にすることがない。
先日「ルパン」を訪れた目的は、女給の通史をまとめた拙著『夜の銀座史――明治・大正・昭和を生きた女給たち』(ミネルヴァ書房)を献本するためであった。「ルパン」を開業したのは、なつさん(本名は雪子さん)という女性である。なつさんは「カフェー・タイガー」という有名なカフェーで女給として働いたのち、独立して「ルパン」をオープンさせたのだった。
女給の本を書いたからには「ルパン」に献本したい、そんな思いでおそるおそる扉を開けた。偶然にも店の中央に飾られているなつさんの絵の前に案内された。その似顔絵は東郷青児の作品で、なつさんご本人がとてもお気に入りだったそうである。
拙著について暗黙の了解をもらったと勝手に思うことにして、名物のモスコミュールに口をつけた。
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