最新記事
シリーズ日本再発見

世界に広がる「うま味」、でも外国人に説明できますか?

2018年06月28日(木)19時35分
井上 拓

japan180628-2b.png

©Umami Information Center

欧米だけではなくイスラム圏まで、専門家の間では高い普及度

「うま味」成分が発見されてから1世紀以上が経ち、国際語としての「umami」が使われつつある昨今。その実際の認知度について、日本および世界への普及を目指して設立された、NPO法人「うま味インフォメーションセンター」に話を聞いた。

「かつては研究者や専門家だけの間での学術的な認知でした。2000年代になってからは、料理人や調理師、栄養士等を対象とするセミナーや勉強会、国際シンポジムが開催され、普及活動は活性化してきています」

当初は、日本国内の料理人でさえ、そもそも「うま味」に対する理解に乏しかったという。普及活動の最初の取り組みとして、京都の高名な料理店からだし汁を提供してもらい、成分の科学的な分析データに基づいて時間をかけて料理人たちに説明する等、国内の地道な草の根活動から始まったそうだ。

舌にあるうま味レセプターこと受容体の存在が認められてからは、世界の料理業界における「umami」への注目度にも変化が出てきたという。さらに和食が無形文化遺産に認定されたことも追い風となり、フランスやイタリア、スペイン、北欧、イギリス等で、和食文化の啓発・啓蒙を通じて、「umami」についても情報発信する機会が増えてきた。

現在では、アルゼンチンやペルー、エジプト、マレーシア等、料理業界での普及国は広がっている。

料理人をはじめとする食の専門家たちの理解については、高い水準で広がってきていると言えそうだ。だがその一方で、「umami」という言葉の広がりこそあるが、一般的な理解の浸透については、まさにこれから、とのこと。

最近では一般の人の中でも食に感度が高い海外のインフルエンサーたち(foodieなどと呼ばれる)と協力しながら、SNSを通じた情報発信やイベント実施などの取り組みを始めているという。

japan180628-3.jpg

©Umami Information Center

これから一般的に浸透していくには、「うま味」を正しく知ることで、どんなメリットがあるのか、すなわち、その必要性を感じているもらうこと、がポイントとなりそうだ。

日本人にさえあまり知られていないが、うま味成分には、塩分を控えられる、食事の満足感が高まることで量が減る等、良い効果もあることが科学的に実証されている。こうした文脈づくりも一般普及の大きなきっかけになるかもしれない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

シリア暫定大統領、プーチン氏と会談 ロシア軍の駐留

ビジネス

カナダ中銀、2会合連続で金利据え置き FRB独立性

ワールド

米財務長官、円買い介入を否定 「強いドル政策」強調

ビジネス

金価格、初の5300ドル突破 経済不透明感やドル安
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに...宇宙船で一体何が?
  • 4
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 5
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 8
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    筋トレ最強の全身運動「アニマルドリル」とは?...「…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中