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ニッポン名物の満員電車は「自然となくなります」

2016年10月24日(月)15時50分
小川裕夫(ライター)

 現在、東京圏の各線混雑率は、ピークタイムでも170%程度で推移している。名古屋圏・大阪圏にいたっては130~140%まで混雑は緩和している。なかにはJR西日本の東海道本線(快速)茨木駅→新大阪駅のように、7時30分~8時30分のピークタイムでも94%といった具合に混雑率が100%を下回る路線も出てきている。

 国土交通省は乗車率150%を"広げて楽に新聞を読める"、180%を"折りたたむなど無理をすれば新聞が読める"ほどの混雑率と定義している。それから考えると、名古屋圏・大阪圏の通勤ラッシュ時における混雑対策は、すでに完了していると言ってもいいかもしれない。

「昭和から平成にかけての混雑の緩和対策は、線路を複線から複々線にしたり、8両編成の電車を10両編成へと長大編成化させるといった主にハード面の整備による方法が主流でした。こうしたハード面での対策は、現在までにほぼやり尽くしたと言っていいでしょう。今後、日本の人口は減少し、自然と満員電車はなくなります。鉄道会社にしてみれば、あと数年のために採算がとれないハード面へのインフラ投資はしづらい。そうしたことを踏まえると、ソフト面になってくると思います」(国土交通省鉄道局都市鉄道政策課)

逆方向通勤、時差通勤キャンペーン、混雑度もわかるアプリ

 満員電車対策は時代とともにハードからソフトへ転換しつつあるが、西武鉄道はいち早く通勤ラッシュを緩和させるソフト対策に取り組んでいた。

 西武鉄道は1986年に本社屋を東京・池袋から埼玉県所沢に移転。西武鉄道広報部によると、所沢に本社を移転させた理由はいくつかあるが、通勤ラッシュ時の混雑緩和も理由のひとつだったと言う。

「当時、東京圏の通勤ラッシュ時の混雑は激しいものがありました。そうした事情は西武鉄道も同じでした。池袋から所沢に本社を移転させる際、西武鉄道だけではなくグループ会社も所沢に集約統合しています。自社グループの社員だけでもラッシュとは逆側の電車で通勤するようにしたことで、西武線の混雑の緩和を図ろうと考えたのです」(西武広報部)

 ソフト面での対策には他にどんなものがあるだろうか。2007年、政府は企業に対して時差通勤の導入を奨励した。企業が時差出勤を導入すれば、通勤時間は分散されることになり、通勤ラッシュ時の混雑ピークも緩和される。だが約10年が経過した今でも、政府主導で奨励された時差出勤は定着しているとは言い難い。

 それでも、旗振り役の政府とは別に、鉄道会社が積極的に時差通勤を奨励するケースもある。

 東京メトロは混雑率対策の一環として、2005年の冬からオフピーク通勤を奨励する"東西線早起きキャンペーン"を開始している。

「東西線は1日に136万人が乗降する路線ですが、"東西線早起きキャンペーン"はいつもより早い時間帯に電車に乗ってもらうことでピークタイムの乗客を分散しようという意図があります。もともと、同キャンペーンは、乗客が厚着になる冬シーズンに実施されていました。厚着だと、同じ乗客数でも車内が窮屈に感じるので、そうした不快感を緩和しようという狙いがあったのです。それが、2015年からは春にも実施するようになりました。春に"東西線早起きキャンペーン"を実施することにしたのは、新入生や新社会人にも早起きの習慣をつけてもらおうと考えたからです」(東京メトロ広報部)

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