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慰安婦問題に迫る映画『主戦場』 英エセックス大学の上映会でデザキ監督が語ったことは
日本人にとっては、つらい過去を指摘されるような、慰安婦問題。これを取り上げた映画を多くの日本人が映画館に列を作るほど見たがっていることに、筆者は驚いた。何らかの回答を得たい、という気持ちが強いのだろうか。
まだまだ決着していない、戦後の大きな問題であることは、確かだ。
エセックス大学で、上映会
『主戦場』は、今秋、欧州各国で上映会が開催されており、デザキ監督も映画と一緒に各国を回っている。
11月6日はウィーン、その後は英国、フランス、ノルウェー、ドイツ、イタリア、スイス、スウェーデンなど、12月上旬まで上映ツアーが続く。
筆者は、11月11日、英南部エセックス大学での上映会に行ってみた。
講義型の教室には数十人の観客がいた。大学ということで、学生・院生が多いが筆者を含む中高齢者の姿もあった。
映画を映し出す役目は監督自身である。
夏に見た時に見落としていた個所が、よみがえる。「当時は、女性はモノとして見られていた」という元日本兵の素朴な物言いが心に残る。
さまざまなことが筆者の頭を駆け巡った。
慰安婦たちが日韓の政治的な道具にされたことへの怒り、女性たちの境遇への思い、女性として、たった一人でも意に反する状態に置かれた女性がいたことの衝撃、そのような行為をしながらも日々戦い続けた兵士たち、そして今もなお、レイプや性的虐待が敵を攻撃する手段として使われていること(ボスニア戦争、ルワンダ内戦、ナイジェリアのボコ・ハラムによる少女たちの拉致など無数にある)などだ。日韓のみで起こったことではなく、第2次大戦のときだけでもない。今現在、形を変えながら発生していることなのだ。
映画は、最初と最後の方に元慰安婦の映像を入れた。最初の映像は役人に怒りをぶちまける元慰安婦の姿。最後の方はつらさ、悲しみを語る元慰安婦のアーカイブ映像だ。
作品は保守系・歴史修正主義的な人々の言論とリベラル系学者の見方を「両論併記」的に対比させているが、最終的には、慰安婦問題に対する日本側の責任を問う姿勢が出ていたと筆者は思う。この慰安婦たちのつらさ・痛み・苦しみに対し、日本側はどう対処するのか、という問いである。これは筆者が日本人だからそう思ったのかもしれないが。見る人によって、様々なメッセージを受け取る映画なのだろう。
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