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中国は警戒を露わに...AUKUSによる豪への「原潜」協力は、本当にコストに見合うか
「英国にとって不可欠なのは欧州の安全保障」
英紙ガーディアンのダン・サバー国防・安全保障エディターも「スナク氏は中国に焦点を当てているのかもしれないが、英国にとって不可欠なのは欧州の安全保障」と題したコラムで「この1年の出来事はロシアが脅威という考えをより強固にした。インド太平洋における英国の小さな軍事的プレゼンスをさらに高めることは費用対効果が良いとは言えない」と書く。
米英豪首脳会談に合わせて発表された英国の「安全保障・国防・開発・外交政策の統合レビュー」の2023年改訂版で中国は「体系的な競争相手」から「進化し、時代を画する挑戦」に格上げされた。しかし、サバー氏は「英国の軍事力への慎重な再投資はウクライナや北大西洋条約機構(NATO)最前線国の自衛支援に集中すべきだ」と警告する。
英国の国防費がGDPに占める割合は1980年代から半減。そんな中で21年には最新鋭空母クイーン・エリザベスを中心とした打撃群が極東に展開し、日米のインド太平洋戦略に加わった。しかし英スカイニュースによると、米軍の将軍はベン・ウォレス英国防相に「陸軍の削減により英国はもはやトップレベルの戦闘力とはみなされない」と内々に伝えたという。
英有力シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のニック・チャイルズ上級研究員(海軍力・海上安全保障)も「AUKUSの3カ国はオーストラリアの潜水艦能力を大幅に向上させる新型原潜設計計画に注目しているが、その実現は困難であり、20年先の話になるかもしれない」と警鐘を鳴らす。
インフレと生活費の危機に苦しむ英国がインド太平洋に関与し続けることに国民の理解を得るのは難しい。次期総選挙で保守党から労働党に政権交代すれば英国は対ロシアという欧州の安全保障に集中するという極めて現実的な選択肢をとることになる。米中の大国間競争は欧州の同盟国に複雑な波紋を投げかけている。