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オミクロン株の倍加時間は2.5~3日 都市封鎖に逆戻りの恐れも 英政府は対策を強化
コロナワクチン3回目の接種を受けるボリス・ジョンソン英首相(12月2日) Paul Edwards/Pool via REUTERS
<オミクロン株の急速な流行によって病院は満杯となり、医療や介護の現場が大きな負担を強いられることが懸念される>
英報告書「最悪だった1月よりはるかに大きな感染のピークが来る」
[ロンドン発]感染力が強く、ワクチン接種による免疫を回避する新型コロナウイルスの変異株オミクロンの感染者数が2.5~3日で倍(倍加時間)になっていることが英政府の発表で分かった。デルタ株の倍加時間はコロナ規制が撤廃される前の6月時点で11日。オミクロン株の流行で医療が再び逼迫し、ロックダウン(都市封鎖)に逆戻りする恐れが出てきた。
英政府の非常時科学諮問委員会(SAGE)モデリンググループの報告書は「南アフリカにおけるオミクロン株の感染力と免疫回避の初期推定値をイギリスに当てはめると今年1月よりはるかに大きな感染のピークが来る恐れがある」と警告する。1月には1日の新規感染者は7万6千人を超え、4千人以上が入院し、死者は1300人を突破する最悪の事態となった。
「オミクロン株の感染拡大のスピードは速く、南ア・ハウテン州では約3日で倍増し、地域全体に広がっている。自然感染とワクチン接種で70%以上が免疫を持つと考えられる集団で感染数が過剰に観測されたことから、何らかの形で免疫が低下している恐れが強いと考えられる」と報告書は分析する。
南アでの感染状況(英政府資料より)
「イギリスでここ数カ月、患者数、入院者数、死亡者数が比較的安定している理由の一つは(ワクチン接種や自然感染で免疫が獲得され)住民のコロナに対する感受性が低くなっていることがある。オミクロン株の免疫回避により入院を防ぐワクチン効果が例えば96%から92%に低下した場合、入院から保護されないワクチン接種者の数が事実上2倍になる」
英イングランドにおけるオミクロン株の感染状況(英政府資料より)
「現在、重症化に関するデータはないが、オミクロン株の重症度がデルタ株の半分であったとしても膨大な数の感染者が医療や介護の現場に多大な負担をかけることになる。オミクロン株の強い感染力と免疫回避を組み合わせた場合、再生産数(R)を1以下に抑えるためには非常に厳しい対策が必要となる可能性が高い」という。
英首相「南アでは入院患者数は1週間で倍に」
オミクロン株の症例がイギリスで初めて確認された先月27日、ボリス・ジョンソン首相はアフリカ南部諸国からの入国禁止、濃厚接触者の自己隔離、店内や公共交通機関でのマスク着用、3回目接種の対策を打ち出した。今月8日には「指数関数的な感染拡大の無慈悲な論理は入院患者数の大幅な増加、死亡者数の増加につながる」とプランBを発動した。
「南アフリカでは入院患者数が1週間で約2倍になっている。オミクロン株が以前の変異株より症状が軽いとまだ断定できない。ウイルスの拡散を遅らせることで、より多くの人、高齢者や社会的弱者に3回目の接種を行う時間を確保することができる。その間にオミクロン株に関する重要な未解決問題の答えを得る必要がある」とジョンソン首相は強調した。