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脱石炭で前進「気温上昇は摂氏1.8度に」IEA事務局長がCOP26の成果報告 追い詰められる日本
脱石炭を大きく前進させたアロック・シャルマCOP26議長(中央、筆者撮影)
<中露が欠席するなど期待値の低かったCOP26が大きな成果を上げつつある。そんななか、会場の近くでは日本の石炭火力発電に抗議するデモも>
エネルギー需要の70%を石炭に依存するポーランドも「脱石炭」誓う
[英北部スコットランド・グラスゴー発]英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で4日、国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長が「これまでの各国政府による誓約を積み上げると世界の平均気温上昇を摂氏1.8度に抑えられる。祝福すべき成果だ」と報告すると、本会場の参加者から拍手が沸いた。
中国、アメリカに次ぐ世界第3位の排出国インドが2070年までの「ネットゼロ(温室効果ガス排出量を実質ゼロに抑える)」を約束し、エネルギー需要の70%を石炭に依存するポーランドも49年までの脱石炭を誓った。エネルギー効率の改善に加え、30年までに温室効果ガスのメタン排出量を20年比で30%削減する目標に100カ国・地域以上が合意した。
ビロル事務局長の発言は石炭火力発電からの脱却を加速させる国際的な連盟「脱石炭連盟(PPCA)」のイベントで飛び出した。世界で500万人以上が亡くなったコロナ危機がくすぶる中、世界最大の排出国・中国の習近平国家主席、第4位のロシアのウラジーミル・プーチン大統領が欠席したCOP26の期待値は低かった。しかし大きな成果を上げつつある。
「エネルギー・デー」の4日、5位韓国、7位インドネシア、9位ベトナム、13位ポーランド、19位ウクライナなど、世界の石炭使用量上位20カ国のうち5カ国を含む少なくとも23カ国が石炭火力発電の廃止を新たに約束した。「石炭からクリーンパワーへの移行に関する声明」が発表され、47カ国・5地方政府・26団体が賛同した。
先進国では2030年代、世界全体では40年代を目標に石炭火力から脱却
石炭火力発電が世界の気温上昇の最大の要因だとして、平均気温の上昇を産業革命前に比べ摂氏2度未満、可能なら1.5度に抑えるパリ協定の目標達成に不可欠な二酸化炭素(CO2)排出削減措置(アベイトメント措置)が施されていない石炭火力発電からの移行を加速させ、安価で信頼できる持続可能なエネルギーへのアクセスを確保することを約束した。
野心的な目標を掲げる国々を認識しつつ、主要先進国では30年代、世界全体では40年代を目標にCO2排出削減措置のない石炭火力発電からの移行を実現するため、今後10年間に技術と政策を早急に拡大させる。削減措置のない石炭火力発電について新規計画の許可と新たな建設を止め、政府による海外への直接支援を終わらせるという。