コラム

南ア・ブラジル変異株の上陸を阻止せよ! 英「ホテル検疫」破れば禁錮10年と罰金144万円

2021年02月10日(水)12時10分

――コロナウイルスには約4千の変異体があるとされ、最大で感染力が70%、感染者の致死率も65%アップしたとされる英変異株のように大きな変異を遂げた株が発生してきました。何が起きているのでしょう

「イギリスではコロナ検査で陽性になったサンプルの5〜10%のゲノム解析を行っています。他の国ではサンプルのゲノム情報はもっと少なく、感染した患者からのサンプルは全体的にはるかに少なくなっています。私たちが把握していない変異がさらにたくさんあるかもしれません」

「しかし、これらの変異のほとんどは無害であり、ただ消えていくだけかもしれません。人間にとって重要な変異体として存続しているのはブラジル変異株や南ア変異株、英変異株のようにほんのわずかです」

――あなたは「イギリスは異なるコロナ変異体のるつぼになる可能性がある」と指摘しましたね

「まあ、ある意味すでにそうなっています。英変異株だけでなく、南ア変異株、ブラジル変異株が確認されています。まだ他にもあるかもしれませんが、イギリスでもゲノム解析をしているのは採取されているサンプルの5〜10%にすぎないのです」

――感染性を高める「 N501Y」や、免疫を回避する「E484K」といった変異が世界の異なる場所で同時に起きたのはなぜだと思いますか

「これらの変異はウイルスが宿主のヒトに適応するのを助けるので、独立して生じていると私たちは考えています。このウイルスはもともとコウモリから来たものです。これらの変異はウイルスが新しいヒトという宿主に適応するのを助けるために世界中の至る所で発生している可能性があることを覚えておいて下さい」

――私たちはどんな変異を最も警戒する必要がありますか

「ウイルスは常にさまざまな変異を起こしています。それは現在かかっている選択圧によります。ウイルスは今や、ヒト集団ではるかに効率的に広がることを可能にするように変異を発展させていく傾向にあります。デンマークでミンクが新型コロナウイルスに感染しましたが、動物で発生する変異は宿主が異なるため、ウイルスがヒトに適応するのを助ける変異とは異なります」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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