不利な投資のはずの「金」がこれほど買われる理由の裏に、投資家が恐れる長期的リスク
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<投資対象としては不利な条件がそろう金だが、価格が大幅に上昇し続けているのはウクライナ侵攻や金融不安といった短期的なリスクだけが理由ではない>
このところ金の価格が大幅に上昇している。昨年10月には1トロイオンス当たり1600ドル程度だったが、年末以降、上昇傾向が続いており、4月には2000ドルを突破した。国内の貴金属業者でも一般投資家からの問い合わせが増えているという。
太古の昔から金は多くの人を魅了してきたが、金融システムが整った現代において、金は「相対的に不利な投資対象」というのが現実である。株式や債券の保有者には配当や利子が支払われるので、価格の上下変動はともかく、保有することで利益を得ることができる。
ところが金は保有していても何も収益を得られないどころか、保管にコストがかかるなど、逆に損失が発生する商品だ。金資産を裏付けにしたETF(上場投資信託)など金融商品化したものも存在しているが、保管コストがかかるのは同じであり、価格の変動要因が存在しない場合、毎年ごくわずかだが、保管コスト分だけ時価総額は減っていくことになる。
これだけ不利な条件がそろっているにもかかわらず、金を保有する投資家が存在し続けているのは、非常時における資産保全を想定しているからにほかならない。
金は金融システムが不安定になったり、戦争など地政学的なリスクが高まると買われやすくなる。ロシアによるウクライナ侵攻や米中対立など、地政学的リスクは高まる一方であり、それに加えて、アメリカの銀行破綻やクレディ・スイスの経営不振など金融システムに対する不安も増大している。
短期的に見れば、金が買われる要因がそろっており、その意味では金価格が上昇してもそれほど驚くべきことではない。
長期的な変動要因は1つ
だが、金の価格推移をもう少し長期的に眺めてみると、違った要因が浮上してくる。短期的に見れば、金は金融システム不安や地政学的リスクで価格が上下するが、長期的にはほぼ単一の要因で価格が決まる。それは通貨(ドル)の価値毀損、つまりインフレに対する懸念である。
シンプルに言ってしまえば、インフレが進むと予想されるときに金は買われ、インフレが落ち着くと金価格は下落する関係にある。戦後、最も金価格が顕著に上昇したのはインフレが最も激しかった1970年代であり、アメリカ政府による金とドルの兌換停止、いわゆるニクソン・ショックをきっかけに約10年間で金価格は18倍に高騰した。
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