自称「大国ロシア」の没落が変える地政学──中国の見限りと寝返りが与える影響
今は「新冷戦」といわれる時代でもある。片や米欧日豪、片や中ロの枢軸というわけだ。インドはさながらカレーのごとく、何にかけてもさまになる存在で、双方の集まりに顔を出している。
「中ロ枢軸」は2010年代、リーマン・ショックによる西側経済の挫折を契機に強化された。紙幣を増刷して経済を維持・拡大させた中国の習政権が自己主張を強めてアメリカと対立、相棒としてロシアを重視したからである。
毛沢東の文革路線に共感を持つ習にしてみれば、ロシアはやはり共産主義の故地。ユーラシアの遊牧民族が言う「兄」のような存在なのだ。
しかしロシアと同様、中国も一筋縄ではいかない。中国は国内にチベットやウイグル、そしてモンゴルなど、分離主義の脅威を抱えているから、ロシアが周辺に攻め込んでそこを独立させたり、併合したりするのをおいそれとは容認できない。
だから、08年にロシアがジョージアに攻め込んで「独立」させた南オセチア・アブハジアの2つの存在を、中国はいまだに国家として承認していない。それは14年のクリミア併合の時も同様で、ウクライナとも兵器の購入などで緊密な関係を維持する中国は、ロシアのクリミア併合を今でも認めていない。
そして今回の戦争が始まる直前、プーチンが「独立」を承認したウクライナのドネツク・ルガンスクの2つの「人民共和国」(ロシアが10月5日に「併合」)にしても中国は国家として承認していないし、前記3月の国連総会でのロシア非難決議には、2回とも反対票を投じることなく棄権で通している。
しかも、中国は西側のロシア制裁を批判しつつも、これを侵すことは慎重に避け、中国の銀行はロシアとの取引への融資を回避している。アメリカに制裁されて、アメリカとのビジネスができないようになるのを恐れているのである。
確かに中国はロシア原油の輸入を急増させてはいるが、ロシアの窮状に付け込んで買いたたいている。ロシアは欧州向けの天然ガスを止めているが、これを中国へ振り向けるパイプラインはない。
米ロ関係が当面行き詰まっているのに比し、米中はまだ合意の余地を残している。台湾については、米日豪による抑止の体制が成立すれば、1975年の全欧安全保障協力会議(CSCE)のように、台湾をめぐり武力使用の放棄、境界の現状維持で合意することはできる。
それに中国経済や人民元は、世上言われているほどの力、つまり世界を2つの陣営に分けてしまうほどの力は持っていない。中国はロシアよりはるかに経済への依存度が大きく、その経済では西側に依存する度合いが、西側が中国に経済的に依存している度合いより大きく、かつ致命的なのである。
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