コラム

コロナワクチン接種後の腕の痛みSIRVAって?

2021年06月16日(水)15時00分

注射の位置が高過ぎるとSIRVAが起こる可能性が Henry Nicholls-REUTERS

<新型コロナウイルスのワクチン接種を受けて科学と医療と政策の勝利に感慨を覚えたイギリス人の筆者だが、実は長引く腕の痛みに悩まされた。その原因とは......>

ニューズウィーク日本版6月8日号で、ワクチン接種体験記を書いた。もしもこれを書くのが10日早かったか10日遅かったら、あそこまで揺るぎなくポジティブな書き方はしなかっただろう。僕なりの結論としては、今でもイギリスのワクチンプログラムは大勝利だと思っているが、記者として熱心に、多少なりとも修飾語を加えて書いた部分もあっただろう。

僕は体験記の中でワクチン接種後に腕の痛みがあったことについて触れ、同じ症状が出た人々とは異なり、僕の場合は何週間か症状が続いたことを書いた。あの記事を書く前には多少痛みが治まっていて、以前のように腕を普通に使うようになっていた。ところが、調子に乗っていたらいつの間にかまた痛みだして、接種数日後のような痛みがぶり返したようだ。問題は、このとき僕は、2回目接種のスケジュールを(1回目から9週後の日に)予約したばかりだったことだ。

このまま2回目接種を受けるべきか1~2週先送りするべきか医者に相談したいと思っていたから、この状況は厄介だった。肩の痛みがぶり返した時から5日後の2回目接種予約日までの間に僕が予約調整できなかったのは、NHS(国民保健サービス)的にはよくあることだった。

まず、僕はスケジュール変更を試みた。最初にオンラインで予約をキャンセルできるかやってみた。キャンセルした後でないと、ウェブサイト上で他の日程候補が表示されないようになっている。すると、キャンセル後に表示された唯一の候補日は、キャンセルしたのと同じ日だった。当初の予約の30分後に予約を変更したって、都合がよくなるわけがない。でも僕は、とりあえずそこに暫定予約を入れ、その間に医者に聞こうと思った。

診察希望者があまりに多いから、医者に診てもらうのは困難なことで有名だ。だから僕は、はっきりと状況を説明した質問メールを送り、どうしたらいいか問い合わせた。3日後、返事を受け取った。「医師の診察予約をするのが良いでしょう」。そして振り出しに戻ったわけだ。

通常の予防接種よりミスの可能性は高いが

その翌日は、たまたま僕のかかりつけクリニックが臨時休診日だった。だから結局、接種日が来てしまった。

診察予約のためには、午前8時半に電話をかけることになっていて、早い者勝ちだ。僕は12回かけて通話中ばかり。「ラッキー13」でやっとつながったと思ったら、その日の予約は全て埋まったと言われた。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送-EQT、日本の不動産部門責任者にKJRM幹部

ビジネス

独プラント・設備受注、2月は前年比+8% 予想外の

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご

ワールド

中国、EU産ブランデーの反ダンピング調査を再延長
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story