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光熱費、電車賃、預金......ぼったくりイギリスの実態
ある学生が英シェフィールド(そこの学校に通っている)からドイツのベルリンに飛行機で旅行し、それから英エセックス(住んでいる場所)に飛行機で戻ったら、航空運賃は普段の通学にかかる電車賃より安かったという。一応言っておくと、シェフィールドとエセックスはイギリスの端と端に位置しているわけではない。
さらに来年1月、電車運賃が平均2.3%値上がりすることが発表されている(値上げ幅を決定する当局がある)。そんなにたいした値上げじゃないと思うかもしれないが、元々高い場合、2.3%は大きい。
たとえばエセックス州コルチェスターからシェフィールドまでにかかる101ポンド(約1万4600円)は、さらに2ポンド値上がりすることになる。これは日本でいえば大宮から名古屋くらいの運行距離。イギリスでこの距離を移動すると日本より2時間は長くかかり(流線型の新幹線でもないし)、それでいて価格は20%も高い(現在のポンド安の状況でも)。
恩恵を手にするのは銀行や大企業
次は、預金金利だ。イングランド銀行(中央銀行)はブレグジット(イギリスのEU離脱)後に貸出基準金利を0.25%下げた。だが多くの銀行は貯蓄口座の金利を0.5~1.5%引き下げている。僕の「一番お得な」はずだった口座の金利も1月には4%から2%に落ちてしまう。これは彼らのいつものやり方だ。銀行は預金者の金利を攻撃的なまでに下げて「取れるところからならどこからでも取る」。
【参考記事】タブーだった「嘘」という言葉をばらまき始めたイギリス人
もう1つの例は、ISA(個人貯蓄口座)。預金の金利が非課税になる口座だ(通常なら20%を源泉課税される)。だからたとえば、預金で3%の利子が得られるとき、ISAでは丸ごと3%が手に入るが、普通預金口座では2.4%しか受け取れない。ISAのほうが明らかにお得だ。
ところが銀行は、たとえば普通預金の金利が3%だとしたら、ISA口座では金利を2.5%、というふうに設定するようになった。それでもまだ普通預金口座よりは「得」だという触れ込みだ。そのおかげで、非課税の恩恵のほとんどを、消費者ではなく銀行が手に入れた。
加えてあるときから、銀行はさらなる手段に出た。ISAの金利を自社の普通預金口座よりも低く設定するようになった。そうしてもなお、総合的・長期的に見ればISA口座のほうが普通預金口座よりはギリギリ得になるからだ。
そんなわけで、今となっては将来的な(理論の上では得られるであろう)利益を夢見て、低い金利のISAに泣く泣く甘んじている人々がいる。でなければ、その他の人々はそれすら理解せず、「非課税口座」なんだから、たとえインフレ率よりも低い金利でもお得に違いない、と信じ込んでISAを利用しているようだ。
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