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デジタル紛争の新たなステージ:イスラエルとハマスの情報戦が示すサイバー戦の進化
・どちらかの当事国に対して支持の表明あるいは逆に批判や制裁を行った国に対してサイバー攻撃が行われ、全世界規模に広がる
サイバー攻撃は当事国だけでなく、関係国あるいはハクティビストなどの非国家アクターが行う。ウクライナ侵攻においても、ロシアへに制裁に加わった国などにサイバー攻撃が行われた。今回も同様のことが起きる可能性が高い。
サイバー攻撃は政府が直接手をくだすとは限らず、プロキシを利用したり、ハクティビストが実行したりすることがある。そして、どこからが政府支援によるものかは判別が難しい。
・陰謀論者や白人至上主義者、差別主義者などが参加する
今回の紛争が始まると、トランプ前大統領はハマスが南の国境を越えてアメリカに入ってきたと言い出し、バイデンとオバマのせいだという主張を始めた。
イスラエル政府は、ハマスの攻撃を事前に知っていたという陰謀論が、#BibiKnewというタグで広まっている。この陰謀論を広めていると考えられているチャーリー・カーク(本人は否定している)は大学に特化した共和党の全国的なグループを率いている。
アメリカの白人至上主義者のグループは反ユダヤ主義をかかげており、ハマスの攻撃開始を祝った。
また、右派の中には、ハマスの潜伏工作員という新たな脅威を利用して、イスラム恐怖症を煽ろうとしている者もいる。
陰謀論者や白人至上主義者など一見すると、つながりの薄いグループが関与してくる理由は、後述するメカニズムのためと考えられる。イデオロギーや信念でつながるのではなく、現状に対する否定や被害者意識でつながっている。
以前の記事「タリバンのネット世論操作高度化の20年の軌跡」からの抜粋をご紹介する。
「タリバンのアフガニスタン征圧は、ネオナチや極右ユーチューバー、右派のプラウドボーイズ、ホワイトナショナリストなどから賞賛され、「我々ももっと大きなことができるはずだ」といった過激派の野望に火をつけた。(中略)タリバンと過激派の主張は、女性への差別、LGBTQへの敵意、中絶への反対、原理主義的な宗教政府への支持など、いくつかの点で一致している。どちらも欧米の社会的進歩が文化や政治的の堕落の原因であると考え、その原因を作った民間や政府の団体および人物に対して深い恨みを抱いている」
・関与した国で当事国に関するデモや抗議活動、暴力行為などが起こる
すでに多くの国は国内に火種となり得る問題をいくつも抱えており、なんらかのきっかけでそれに火がつく。紛争でどちらかを支持したり、制裁措置を行った国の国内でデモ、抗議活動、暴力行為が起きやすくなる。たとえばヨーロッパ最大のユダヤ人人口を抱えるフランスでは、数千人が政府によるハマス支持の集会禁止を無視してパリに集まり、警察は催涙ガスと放水銃で彼らを解散させた。イギリスでは先週、反ユダヤ主義的な事件が急増した。その背景には近年ヨーロッパに広がっているユダヤ人に対する反感がある。
本誌ウェブでもアメリカのパレスチナ支持集会を襲撃しようとした事件やパレスチナ系少年がアメリカで刺殺された事件などを掲載している。筆者が住んでいるバンクーバーでもパレスチナ支持の集会が行われているのを見たことがある。
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