コラム

台湾がウクライナとは違う理由──中国のサイバー攻撃の裏には地政学的な狙いがある

2022年09月05日(月)14時50分

他にもさまざまな面で時間は中国に有利に働く。たとえば温暖化の影響による異常気象や食糧不足、難民の増加などは社会を不安定にし、権威主義化を加速する要因になる。そして、CO2削減のために使われるソーラーパネルの80%、風力タービンの40%、電気自動車に搭載されるバッテリーに不可欠な精製レアアース の90%は中国が供給している。

しかも前の記事で書いたようにアメリカが内戦状態に陥れば、その後10年間は国際舞台でのアメリカのプレゼンスは低下し、「アメリカのいない10年」になりかねない。内戦が起きないにしても、アメリカ国内状況の不安定さが続く可能性は高い。相対的に中国の影響力は増大する。

ここで述べたようなサイバー空間と地政学的な動きを総合する考え方は広がっており、その関心の高さを示すように明治大学サイバーセキュリティ研究所が近く主宰する影響工作に関するウェビナーも満席になって増枠するという。筆者もパネリストとして末席を汚す予定なので興味ある方のご参加を歓迎する)。

最後に、前掲の「The Great Economic Rivalry: China vs the U.S.」に書かれていたことを紹介したい。中国が失速し、崩壊する、ということは20年以上前から何度も多くの識者が指摘してきた。確かに崩壊につながる課題はあった。しかし、中国は繰り返し課題を乗り越えてきた。今後、崩壊する可能性がないとは言えないが、乗り越えてくる可能性も充分あり、我々はそれに備える必要がある。


プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ネット世論操作とデジタル影響工作』(共著、原書房)など著作多数。X(旧ツイッター)。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。新領域安全保障研究所。

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国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

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