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台湾がウクライナとは違う理由──中国のサイバー攻撃の裏には地政学的な狙いがある
ウクライナ侵攻の際、アメリカは同盟国を従えてロシアに対する経済制裁を発動した。その効果については議論が分かれるところだが、とりあえずロシアの譲歩は引き出せず、戦争は継続している。一方、経済制裁を課した国々には、そのしわ寄せが来ている。国際政治学者マーク・ガレオッティが「多くの国際制裁では実際の成功よりも成功したように見えることのほうが重視されがちである」と語った通りなのかもしれない(『武器化する世界』マーク・ガレオッティ、原書房、2022年7月21日)。
現在の状況で中国に対して意味のある経済制裁を行うには無理がありそうな気がする。アメリカと中国の経済の実態が、ハーバード大学ベルファーセンターのレポート「The Great Economic Rivalry: China vs the U.S.」(2022年3月)にくわしく書かれている。
世界のGDPの成長の3分1が中国によるものであり、世界でもっとも多くの国の重要な貿易相手はアメリカではなく中国に代わっている。CIAとIMFは経済力の指標としてGDPではなく購買力平価(PPP)を用いているが、購買力平価では中国はすでにアメリカを追い抜いて世界1位となっている。ちなみにウクライナで活躍した衛星通信スターリンクはイーロン・マスクが率いているが、同氏がCEOを務める電気自動車メーカー、テスラの半分は中国で生産されている。イーロン・マスクは、「中国はもっとも多くの車両を生産し、もっとも大きな市場になる」と語っている。
レアアースやリチウムなどさまざまなものが中国に握られており、デカップリングが言われるようになってからもそれは変わらない。簡単に代替できるレベルではないのだ。
中国はロシアは全く違うし、台湾とウクライナも違う。したがって、これから起こることも全く違うと考えた方がよいだろう。
周辺国でサイバー攻撃や影響工作が増加する可能性
中国とアメリカは当面正面切ってぶつかることはなさそうだが、周辺国、特に日本へのサイバー攻撃は激化する可能性が高い。台湾への侵攻でも平和的な手段での併合でも、日本が巻き込まれることは確実である。世界地図を見ればすぐにわかるように、日本の与那国町や石垣島は沖縄本島よりも、はるかに台湾や中国に近い。なんの影響もないと考える方が不自然だ。
日本を含む周辺国の多くは台湾に比べるとレッドライン(超えると相手の本格的な報復を招きかねないライン)が低めに抑えられている。中国がレッドラインを押し上げるためにも、サイバー攻撃による諜報活動、インフラに影響を与えるための準備、影響工作を進める可能性がある。
重要なのは、「時間は中国に有利に働く」ということだ。なぜなら、これまでの記事で繰り返し指摘してきたように、アメリカを中心とする民主主義陣営は衰退している。時間が経てば経つほど不利になるのは明らかだ。
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