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ウクライナ対ロシア 市民も参加するサイバー戦は今後どうなる
ウクライナIT軍にもロシアのハクティビストグループにも世界各国から一般人が参加している...... REUTERS/Luis Cortes
<ウクライナIT軍にもロシアのハクティビストグループにも世界各国から一般人が参加している。意図的に法を破って、第三者に危害を与えることは犯罪行為あるいはテロ行為とみなされるが......>
長引くウクライナ侵攻では、ウクライナは国際世論を背景にグローバルノース各国(欧米プラス日本、韓国)からの支援を得ているが、その活動のひとつにボランティアのサイバー部隊がある。ウクライナのデジタル変革大臣Mykhailo Fedorovが2月26日に発表したボランティアによるIT軍(IT Army)である。この軍にはわかっている範囲で最大時で約約30万人以上が世界各国から参加している。
一方、ロシア側にもボランティアによるハクティビスト(アクティビズムとハックを組み合わせた造語)グループがある。こちらはロシア政府が呼びかけてできたものではなく、自発的に発生したことになっている。Killnet、XakNetなどがそうである。
ウクライナIT軍とロシアのハクティビストグループにはいくつか共通点がある。ひとつは主にTelegramを利用していること、もうひとつは、それぞれの政府が関与していることである。簡単にまとめたものが下表である。より詳細な表については拙noteをご参照いただきたい。
ウクライナIT軍にはふたつのグループがある
ウクライナIT軍はDDoS攻撃などについては、Telegramで情報を共有している。メインのチャンネルは、@itarmyofukraine2022でウクライナIT軍の人数の根拠はここの参加者の数である。最大時には307,165だったが、先週確認したところ244,638まで減少していた。開設後、一気に30万人を突破し、その後、じわじわと減り続けている。このチャンネル以外に関係しているチャンネルが多数あり、次の攻撃ターゲットの指示が公開されると拡散を行っている。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校のStefan SoesantoがウクライナIT軍の詳細を整理、分析している。攻撃に関する情報はGoogle Docs上の「IT Army Coordination Document」で共有されており、攻撃の優先度やサイトのダウン状況、ロシア官公庁のURLとIPアドレスなどが掲載されている。この文書は主として新規参加者のガイドになっており、攻撃レベルが低いものから高いものまで分かれている。
攻撃レベルの低いものではplayforukraine.orgなど4つのDDoS攻撃を行えるサイトが紹介されており、攻撃レベルが高いものにはAWS、Google、Microsoftが提供するクラウド 上の仮想サーバーの無料トライアル期間を利用して攻撃ツールをインストールする方法などが紹介されていた。
エストニアに本社をおくHacken.ioはLiberatorと呼ばれるDDoS攻撃ツールを3月4日に公開した。この仕組みはLiberatorをインストールし、トークンを購入することで非中央集権型DDoS保護ネットワーク(de-centralized DDoS protection network )に参加することで正体を隠して安全にDDoS攻撃の手助けをすることができるものだ。この呼びかけに反応したアメリカのYouTubeインフルエンサーBoxminingがロシアにDDoS攻撃を行うためにLiberatorのインストールを勧める動画を公開した。
だが、ウクライナIT軍のTelegramでは共有されない活動がある。3月初旬のロシアのISP、miranda-media.ruの改竄、ロシア版インスタグラムRossgramやロシア版YouTubeのRuTube、アメリカのClearviewの顔認識システムを使用してロシア兵の遺体の身元を確認した数の公開などだ。
こうしたいくつかの事実から、ウクライナIT軍には政府機関の部隊と、一般参加者の部隊の2つのグループがあると考えられている。該当する政府機関としてキーフにある72nd Center for Informational and Psychological Operationsの関与が疑われている。
また、ウクライナIT軍のサイバー攻撃の成果については疑問を呈する声も多く、外部へのアピールと、政府部隊の活動を隠すために活用されているようだ。
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