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コロナ禍によって拡大した、デマ・陰謀論コンテンツ市場
コロナにまつわるフェイクニュースやデマは世界中に溢れ、いまだに収まっていない REUTERS/Henry Nicholls
<コロナにまつわるフェイクニュースやデマは世界中に溢れたが、これをもたらしたのは、YouTube、フェイスブック、ツイッターなどのターゲット広告が誤情報の氾濫を招いたと指摘されている>
SNSプラットフォームがフェイクニュースに利益をもたらす
利益目的でフェイクニュースや陰謀論を流すのは以前からあったことで、ことさら目新しいわけではない。問題はパンデミックによって、フェイクニュースや陰謀論へのアクセスが増加しビジネスとしての旨みが増したことと、有効な措置をとらなかったプラットフォームの怠慢のために多くの問題が発生したことである。
コロナにまつわるフェイクニュースやデマは世界中に溢れ、いまだに収まっていない。パンデミックにちなんだインフォデミックという言葉も現れた。2020年5月25日、アメリカのシンクタンクNEW AMERICAは、「Getting to the Source of Infodemics: It's the Business Model」と題するレポートを公開し、はっきりとインフォデミックをもたらしたのは、グーグル(傘下のYouTube)、フェイスブック、ツイッターなどのターゲット広告が誤情報の氾濫を招いたと名指ししていた。そしてSNSプラットフォームが問題のある投稿を止められないのは彼らが人権を軽視し、紙媒体のような責任と透明性を持っていないためであるとした。
2020年11月にはネット世論操作の研究で有名なオクスフォード大学のComputational Propaganda Projectのデータメモ「Profiting from the Pandemic Moderating COVID-19 Lockdown Protest, Scam, and Health Disinformation Websites」が公開された。
このメモでは、コロナに関して問題となる情報を発信しているサイトのインフラ部分を支えている事業者について調べている。サイトは3種類に分類され、それぞれ40ずつを選び、調査を行った。
1.ロックダウンなどの措置に抗議する
2.コロナに関する詐欺や不正行為、利益供与を促進する
3.公衆衛生に関するデマを発信する
これらのサイトはグーグル、GoDaddy、Cloudflare、フェイスブックなどの機能を利用してコンテンツを提供していた。中でもグーグルとフェイスブックのサービスは特によく使われていた。トラッカーも広く使われており、反ロックダウンサイトとコロナ詐欺サイトの約3分の1は広告用、3分の1は分析用、3分の1はトラッカーとウィジェットが混在している。一方、デマサイトのトラッカーのほぼ3分の2は広告用トラッカーであり、収入源としていかに広告に依存しているかわかる。ここでもグーグルとフェイスブックのトラッカーはよく使われている。
グーグルやフェイスブックは問題となる情報発信に対してモデレーションを行い、排除するようにしているが、不十分かつ効果に乏しいことがわかる。ここで明らかにされたことを表にまとめたものが下記である。
コロナによってフェイクニュースやデマや陰謀論をネットでばらまく者がより多くの利益を獲得できるようになったことは確かなようだ。2020年7月8日に公開されたGDI(Global Disinformation Index)社の推定によると500の英文コロナデマサイトの2020年の広告収益は25億円だった。もっとも利用されていた広告配信ネットワークはグーグルで、次いでOpenX、アマゾンとなっていた。これらを通じて、世界的なブランドであるロレアル、キャノン、ブルーミンバーグなどが問題あるサイトに広告収益をもたらしていた。
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