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トルコでは七面鳥(ターキー)を「インド人」と呼ぶ
ちなみに、アメリカでクリスマスに七面鳥を食べるのはよく知られている。先日テレビで、先住民から七面鳥をもらったのがクリスマスの七面鳥の起源だとの説が流されていたが、これはクリスマスではなく、感謝祭のまちがいだろう。英国ではすでに16世紀にクリスマスに七面鳥を食べる習慣があった由。
日本ではチキンが一般的だが、これは七面鳥が入手しづらいので、日本のケンタッキー・フライドチキンがクリスマスにはフライドチキンを食べようとキャンペーンしたことで広まったといわれている。コカ・コーラといい、ケンタッキーといい、人間とはよほど広告にひっかかりやすくできているのだろう。
さて、七面鳥は英語だと「ターキー(turkey)」つまり「トルコ」と呼ばれている。なぜ、「トルコ」なのだろうか。そもそも七面鳥は北米原産の鳥だ。七面鳥の輸入にトルコ商人が関わっていたので、ターキーと呼ばれるようになったという説がある。だが、北米の産品を何でトルコ商人がイギリスに輸出するのか。二度手間もいいところで、にわかには信じがたい。別の説によると、イギリスではアメリカ大陸発見前から、アフリカ原産のホロホロチョウを、それらがトルコ商人によって輸入されていたので「ターキー」と呼んでおり、アメリカ大陸に移住したイギリス人が北米原産の七面鳥をみて、それをまちがって「ターキー」と呼んだ。これが、そもそものきっかけだという。こちらのほうが説得力はあるかもしれない。
ちなみに、当のトルコでは「ヒンディー」と呼ぶ。「ヒンディー」とはトルコ語で「インド人」を意味する。トルコ語だけでなく、フランス語やロシア語でも七面鳥は「インド」である。ヒンディー語はわからないので何ともいえないが、グーグルで翻訳すると、「タルキー」と出てくる。英語の「ターキー」からの借用語だろうか。
実はトルコ語やフランス語などの「インド」は現在のインドではなく、アメリカ大陸のことを指していたとも考えられる。アメリカ大陸を発見したコロンブスがアメリカをインドだと思い込んでいたことを想起してもらいたい。であるならば、インドと呼ぶのは合理的といえるだろう。しかし、トルコはどうか?
なお、トルコの隣国イランで話されているペルシア語では「ブーガラムーン」といい、これはトルコともインドとも関係ない。一方、同じ隣国でもアラビア語では「ディーク(あるいはダジャージュ)・ルーミー」つまり「ローマ(またはギリシア)の鶏」と呼ばれ、「エチオピアの鶏」という言い回しもある。「インドの鶏」という語もあるが、これは闘鶏用の鶏を指し、七面鳥ではない。
まあ、ペルシア絨毯をトルコ絨毯と呼ぶなど、イギリス人は、ヨーロッパ以外からきたものに、勝手に「トルコ」の名前をつけることがあるので、案外そうしたどうでもいいことが起源になっているのかもしれない。
※一部事実関係に間違いがありましたので、訂正しました(12月27日)。
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