バー米FRB副議長、銀行規制弱体化の弊害を警告 退任控え
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2月20日、米連邦準備理事会(FRB)の規制担当副議長を今月末で退任するマイケル・バー氏は、銀行の規則や監督を弱めれば不意打ちのショックが起きた時に銀行が脆弱になりかねない弊害があると警告した。写真は、FRBの外観。2022年6月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Sarah Silbiger/)
[ワシントン 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の規制担当副議長を今月末で退任するマイケル・バー氏は20日、銀行の規則や監督を弱めれば不意打ちのショックが起きた時に銀行が脆弱になりかねない弊害があると警告した。
「特定の脆弱性が他の脆弱性とどのように相互作用し、ショックに直面した際にリスクを増幅させ、伝播させるのかを十分に理解することはできない」と指摘した。
トランプ政権が経済成長促進に向けた規制緩和を最優先課題とする中で、バー氏は銀行の規則や監督を大幅に弱めようとする動きをけん制し、米銀大手に適用する国際的な新自己資本規制「バーゼル3」をまとめ上げることを促した。バー氏はFRB理事としては残留する意向を示しているが、このような警告がどこまで通用するのかは不透明だ。バー氏の後任の規制担当副議長はまだ決まっていない。
バー氏は、規制担当副議長としての任期の大部分をバーゼル3の策定に向けた作業に費やした。銀行のリスク測定方法を抜本的に見直すことにより、大手銀行の自己資本規制を大幅に引き上げようとしたが、銀行業界の激しい反発に遭って挫折した。
バー氏は、バーゼル3を完成させなければ米国の銀行が不利になり、他の国々も同様の規制の実施を避けようとするため「底辺への競争」に拍車がかかる恐れがあると警鐘を鳴らした。
バー氏は、FRBのもう一つの主な規制手段となっている大手銀行を対象とした年次のストレステスト(健全性審査)をさらに弱めようとする動きにも注意を促した。バー氏はストレステストの透明性向上が、銀行の自己資本規制を引き下げる結果にならないように規制当局が取り組むべきだと訴えた。