独選挙直前に偽情報拡散、親ロシア主張 首相候補メルツ氏を批判

23日に連邦議会(下院)総選挙を控えるドイツでは、過去1週間でソーシャルメディア上の700を超える偽アカウントを通じて、親ロシア的な主張や、世論調査で支持率トップを走る保守連合キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の首相候補フリードリヒ・メルツ氏(写真)の印象悪化を狙った情報が拡散されている。19日、フェヒタで撮影(2025年 ロイター/Carmen Jaspersen)
Thomas Escritt
[ベルリン 20日 ロイター] - 23日に連邦議会(下院)総選挙を控えるドイツでは、過去1週間でソーシャルメディア上の700を超える偽アカウントを通じて、親ロシア的な主張や、世論調査で支持率トップを走る保守連合キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の首相候補フリードリヒ・メルツ氏の印象悪化を狙った情報が拡散されている。
メルツ氏は、ロシアの侵攻を受けるウクライナを支援している。一方、支持率2位の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」はウクライナ向け軍事支援に反対し、ロシアとのエネルギー取引復活を望む。
ロバート・ボッシュ財団と協力して調査を進めた研究者グループが明らかにしたところでは、一連のボット(自動投稿プログラム)が人工知能(AI)で生成したメルツ氏の画像とともに反保守的、反戦的なメッセージを投稿しているもよう。
サイバーセキュリティー専門家の1人は「これらや同様の偽情報を流す動きは情報セキュリティー当局に認知されている」と指摘した。
研究者グループによると、Xなどへのこうした投稿の背景は不明。ただ大半のアカウントは2024年12月に開設され、しばらくは政治性のない退屈な投稿が続いていたが、1週間前になってメルツ氏批判のメッセージに切り替わったという。
一部の投稿には、ドイツが陥った経済的な負の連鎖を止められる唯一の方法はロシア産の天然ガスの購入を再開することだと記されていた。
またメルツ氏が政権を握れば、メルケル元首相時代のように大量の移民が流入してくるといった内容も見られた。