バルト海で衛星信号妨害、ロシアの制裁逃れか フィンランドが指摘
フィンランドの沿岸警備隊によると、バルト海のフィンランド湾で4月以降、全地球航法衛星システム(GNSS)信号の妨害が相次いでおり、船舶が位置情報を正しく把握できない事例が増えている。写真はフィンランドとロシアの国境をパトロールするフィンランド国境警備隊員。6月撮影(2024年 ロイター/Anne Kauranen)
Anne Kauranen
[ヘルシンキ 31日 ロイター] - フィンランドの沿岸警備隊によると、バルト海のフィンランド湾で4月以降、全地球航法衛星システム(GNSS)信号の妨害が相次いでおり、船舶が位置情報を正しく把握できない事例が増えている。
また数週間前からは、ロシアのサンクトペテルブルク付近の港への入港が発覚しないよう位置情報を偽装するタンカーが10隻ほど確認されているという。
沿岸警備隊の司令官はロイターに対し「これは制裁逃れに関連しているとみられる」と指摘。「ロシア産原油を輸入する国が産地を隠したい場合、販売業者や船舶が(位置情報を偽装する)スプーフィングを利用して船舶がロシアに入港していないように見せかける可能性がある」と述べた。
西側諸国はロシアのウクライナ侵攻に対する制裁として、海上輸送されるロシア産原油に上限価格を設定している。
また沿岸警備隊は、ロシアがフィンランド湾東岸の石油輸出港をウクライナの攻撃から守るため、信号を妨害しているとの見方も示した。
沿岸警備隊によると、フィンランド当局はロシア産原油を輸送する老朽船からなる「影の船団」を監視。船体の状態が悪く、石油の流出でバルト海の生態系の破壊につながりかねないと懸念しているという。