ハリス氏、移民政策やバイデン氏の適性擁護 FOXインタビュー
米大統領選の民主党候補ハリス副大統領は10月16日、保守系メディアのFOXニュースのインタビューに応じた。同日、ワシントンクロッシング(米ペンシルベニア州)で撮影(2024年 ロイター/Evelyn Hockstein)
Nandita Bose Stephanie Kelly
[ワシントンクロッシング(米ペンシルベニア州) 16日 ロイター] - 米大統領選の民主党候補ハリス副大統領は16日、保守系メディアのFOXニュースのインタビューに応じた。南部国境での不法移民急増へのバイデン政権の対応について厳しい質問を浴び、国境法案を可決できなかったのは共和党に責任があると主張した。
ハリス氏は共和党候補トランプ前大統領が任期中に導入した移民抑制策の一部を撤回するというバイデン政権の決定や、不法移民の手によって子どもを失ったと議会で証言した母親について質問を受けた。
ハリス氏はこの母親に同情の念を示した上で、「今起きていることについて話しましょう」と語り、トランプ氏が共和党に超党派の移民法案を拒否するよう求めたのは「彼が問題を解決するよりも、問題を残したまま選挙戦を戦うことを望んだからだ」と指摘した。
また、バイデン政権の行動で変えることは何一つないと最近述べたことについて問われ、「私の政権はバイデン政権の継続にはならない」と明言したが、詳細には触れなかった。
住宅不足を解決し、中小企業を発展させるために、共和党や経済界から新たなアイデアを取り入れると述べた。
バイデン大統領の精神的適性や自身の副大統領としての経験、過去にトランスジェンダーの受刑者に対する性別適合手術を税金で支援する姿勢を示したことなどについても問われ、釈明を迫られた。司会者のブレット・ベイヤー氏と互いに発言をさえぎる場面が頻繁にあり、ハリス氏がいらだちを募らせているのがうかがえた。
ハリス氏はバイデン氏には大統領としての「判断力」と「経験」があると述べた一方、トランプ氏の大統領職への適性に疑問を呈し、「バイデン氏は立候補していないが、トランプ氏は立候補している」と指摘した。
トランスジェンダーの受刑者に対する性別適合手術に税金を投入することについて、「法律に従う」との立場を示した。トランプ政権下でも連邦刑務局が性別適合治療を行っており、同氏は自分のことを棚に上げて相手陣営を攻撃していると非難した。
<トランプ陣営、「インタビューはひどい内容」>
ハリス氏が大統領候補としてFOXニュースのインタビューを受けるのは今回が初めて。
約30分間のインタビューが終了した直後にトランプ陣営は「ひどい」インタビューだったと声明で批判した。
トランプ陣営の元スタッフで政治ストラテジストのデービッド・アーバン氏は、ハリス氏は責任を回避してトランプ氏をスケープゴートにしようとしたとし、一貫性がなく平均以下の出来だったと語った。
ハリス氏の広報担当者ブライアン・ファロン氏は、「選挙活動中にハリス氏の主張を聞いたことがない聴衆に訴えることができた。また敵対的なインタビュアーに対して、毅然(きぜん)とした態度で立ち向かう強さも示すことができた」と指摘。「目標としていたことを確実に達成できた」と述べた。
ハリス氏のインタビューは共和党有権者に直接アピールする取り組みの一環。ハリス氏はこの日、インタビューに先立ち激戦州の東部ペンシルベニア州フィラデルフィアを訪れた。トランプ氏を批判し、「あなたの政党が何であれ、前回の選挙で誰に投票したかを問わず、私の選挙活動にはあなたの居場所がある」などと支持を訴えた。