トランプ氏が異例の被災地訪問、災害の政治利用と専門家
米大統領選を戦う共和党のトランプ前大統領がハリケーン「へリーン」の被災地を訪れてバイデン政権が対応を怠っていると虚偽の主張をしたことについて、複数の政治アナリストは1日、選挙戦を有利に展開するため災害を利用していると指摘した。写真は9月30日、ジョージア州バルドスタで撮影(2024年 ロイター/Elijah Nouvelage)
Tim Reid Helen Coster
[ワシントン 1日 ロイター] - 米大統領選を戦う共和党のトランプ前大統領がハリケーン「へリーン」の被災地を訪れてバイデン政権が対応を怠っていると虚偽の主張をしたことについて、複数の政治アナリストは1日、選挙戦を有利に展開するため災害を利用していると指摘した。
ハリケーンではノースカロライナやジョージア、フロリダなど南部州で100人以上の死者が出ており、さらに増える見込み。
トランプ氏は9月30日、激戦州ジョージアのバルドスタを訪れ、石油や水、機材など「トラック何台分もの物資」を州に運び入れ、キリスト教福音派指導者フランクリン・グラハム氏の救済団体と連携して州民に届けると述べた。
セントルイス・ワシントン大学の政治学教授、アンドリュー・リーブス氏はトランプ氏が今回のハリケーンを、現政権の副大統領で民主党候補ハリス氏と結びつけようとしていると分析。
災害対応に大きな不備があればハリス氏に跳ね返る可能性があるとし、「トランプ氏は大統領のように振る舞い、自身が危機に関心を向けていると報じられることを狙っている」とした。
アナリストによると、現職ではない大統領候補が被災地を訪れるのは異例。
超党派の政治アナリスト、スチュアート・ローゼンバーグ氏は自然災害、とりわけハリケーンは近年の米政治を左右しており、今年の大統領選の行方を変えかねないと述べた。
トランプ陣営の広報担当カロリン・リービット氏は「バイデン氏やハリス氏が危機時に米国民を見捨てているのに対し、トランプ氏は率先して行動する」と主張した。
バイデン氏は2日にノースカロライナを訪れる考えで、ジョージアとフロリダも近く訪問する。
ハリス氏も2日にジョージア州オーガスタを訪問する予定で、その後ノースカロライナを訪れるとホワイトハウスが発表した。