ニュース速報
ワールド

台湾海峡の安定、米に関与働きかけ=林官房長官 

2024年07月23日(火)16時24分

林芳正官房長官はロイターとのインタビューで、11月の米大統領選で誰が勝利しても同盟国として台湾海峡の安定維持に向けた関与を米国に働きかけていく考えを示した。写真は会見する林官房長官。23年12月撮影。(2024年 ロイター/Issei Kato/File photo)

Yukiko Toyoda

[東京 23日 ロイター] - 林芳正官房長官は、11月の米大統領選で誰が勝利しても同盟国として台湾海峡の安定維持に向けた関与を米国に働きかけていく考えを示した。共和党の大統領候補に指名されたトランプ氏は台湾防衛への態度を明確にしていないが、林氏は「(台湾海峡の)平和と安定というのはわが国の安全保障はもとより国際社会にとっても重要」と述べた。

ロイターのインタビューで語った。米国との間で「両岸関係の平和的解決」という「共通理解を堅固なものにしていく、堅固なものを引き続き堅固なものにしていく、これが大事なこと」と述べた。トランプ氏は最近のインタビューで台湾が中国から攻撃された際に防衛するかどうか明言を避け、「台湾は防衛費を払うべき」などと主張していた。

林氏は、日米同盟がインド太平洋地域の安定に重要な役割を果たしてきたとした上で、「この関係はどちらの党がホワイトハウスに行っても党派を超えて共通の認識」とも強調した。

   また、輸入品に高い関税を課すことを表明するなどトランプ氏が厳しい姿勢で臨もうとしている中国との付き合い方については、「戦略的互恵関係」を追求するとした。「安全保障に関わるリスクを取り除きながら、自由貿易を守っていく」と語った。「日中外相会談も調整中だと理解している」と現状を説明した上で、日中の首脳間の往来を目指すべきとの考えを示した。

日本経済に関しては、日銀が早ければ7月末の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの観測が出ていることについて「マーケットとも対話していただきながらやっていただく、このことに尽きる」と語った。一方で、中小企業に消費と賃金の好循環が波及するよう目配りが必要だと述べ、中小企業が付加価値を高める取り組みを政府として後押しするとした。

過度な円安が物価高を招く可能性が指摘される中、林氏は秋以降、消費を下支えするための「何らかの経済対策というのは視野に入っている」と発言。規模などは経済指標を見極めながら考える必要があるとした。デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現を目指して政府・日銀が2013年に表明した共同声明(アコード)については、「今ただちに見直さなければいけないかというと、そういうことではないだろう」と語った。

このほか、9月に控える自民党総裁選に自身が立候補する可能性について「わたしは今、岸田(文雄)政権の官房長官。まさに総理の間近でお支えする仕事だ。総理が総裁選に臨まれるということであれば、それをしっかり支えるということだ」と語った。岸田首相は出馬するかどうか現時点で明言してない。

(豊田祐基子、杉山健太郎 編集:久保信博)

*インタビューは19日に実施しました。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バルニエ仏新首相、移民政策に強硬姿勢 大統領の主要

ワールド

英首相、13日に訪米 バイデン大統領と会談=ホワイ

ワールド

トランプ氏量刑言い渡し、大統領選後に延期 不倫口止

ワールド

原油先物2%安、北海ブレントは21年12月以来の安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    「私ならその車を売る」「燃やすなら今」修理から戻ってきた車の中に「複数の白い塊」...悪夢の光景にネット戦慄
  • 4
    「冗長で曖昧、意味不明」カマラ・ハリスの初のイン…
  • 5
    世界に400頭だけ...希少なウォンバット、なかでも珍…
  • 6
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 7
    川底から発見された「エイリアンの頭」の謎...ネット…
  • 8
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立て…
  • 9
    【クイズ】最新の世界大学ランキングで、アジアから…
  • 10
    7人に1人が寝つきの悪さに悩む...「夜のエクササイズ…
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つの共通点
  • 4
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 5
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 6
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
  • 7
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 8
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 9
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 10
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中