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EUと米、3─6月のロシア産アルミとニッケル輸入増加=ロイター集計

9月6日、ロシアからの未加工アルミ輸入ではEUが3─6月の月間平均で13%増の7万8207トンと、世界で最多だった。写真はアルミニウム。ボスニア・ヘルツェゴビナのグラダチャツで2月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)
[ロンドン 6日 ロイター] - 今年3─6月の欧州連合(EU)と米国によるロシアからのアルミニウムとニッケルの輸入は計19億8000万ドル相当と、前年同期から70%も増えていた。国連データベースからロイターが集計した。ウクライナに侵攻したロシアへの制裁から工業用金属部門がおおむね除外されているためだ。
ロシアからの未加工アルミ輸入ではEUが3─6月の月間平均で13%増の7万8207トンと、世界で最多だった。欧州最大の港湾ロッテルダムでは、今年上半期の受け入れ積み荷の総量は0.8%増だったが、コンテナ積載できない重量貨物は金属輸入増加が押し上げる形で17.7%急増している。同港湾の広報担当者はロイターに対し、アルミとニッケルはなお入港しているとし、制裁対象外だからだと説明した。
米国の3─6月のロシア産アルミ輸入は月間平均が21%増の2万3049トンだった。
ロシア産ニッケルの3─6月の輸入は米国が70%増と三大受け入れ地のうち最も伸びが高く、EUも22%増加していた。
アナリストによると、米国やEUはトランプ前米大統領が2018年に発動したロシア産アルミ貿易制裁で建設や自動車、発電部門などに大混乱が生じたことを大きな教訓としているという。当時の制裁も翌年には解除された。
今年もロシアがウクライナに侵攻した直後は一時、アルミとニッケルに直接の制裁ないし物流停滞などの間接的な影響が及ぶとの懸念で価格が一時急騰した。しかし、ジュリアスベアのアナリスト、カーステン・メンケ氏はロシア産アルミとニッケルでは「今、市場機能は続いている」と指摘。「コモディティーのトレーダーからの情報では、主に値段が問題なだけだ」とし、一部の政治家が望んでいた結果ではないかもしれないが、いずれにせよ取引は続いていると話した。
リベルムのコモディティー戦略責任者、トム・プライス氏は「米国勢にとってはアルミの調達先をできるだけ多様化することが極めて重要だ」と指摘。「金属輸出を絞っている中国から買い付けることには極めて消極的で、だからこそロシア産アルミは極めて重要になってくる」とし、「米国が今回、アルミを禁輸対象にしなかったのもそのためだ」と語った。
米国務省の報道担当者はロイターの問い合わせに対し、「ウクライナ侵攻を巡るプーチン大統領の代償を高めるために検討の俎上に載せないものは一切ない」と語った。欧州委員会はコメント要請に応じていない。