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豪中銀総裁、追加利上げ示唆 75bpの可能性は低いとも指摘

2022年06月21日(火)12時13分

 6月21日、オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は、金利は依然として「非常に低い」と述べ、さらなる金融引き締めを示唆した。写真は2016年9月、シドニーで撮影(2022年 ロイター/Jason Reed)

[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のロウ総裁は21日、金利は依然として「非常に低い」と述べ、さらなる金融引き締めを示唆した。ただ、75ベーシスポイント(bp)の利上げは可能性が低いとも指摘した。

物価上昇圧力は国内外で高まり続けているとして、インフレ率は年末までに7%に達するとの見通しを示し、従来の6%から引き上げた。これは過去数十年で最も高い水準であり、RBAの長期目標である2─3%を大幅に上回る形だ。

総裁は講演で「われわれがインフレ率の2─3%への回帰を誘導する中、オーストラリア国民はさらなる利上げに備えるべきだ」と警告。「失業率が低く、高インフレとなっている経済にとって、金利水準はなお非常に低い」と述べた。

21日公表された6月理事会の議事要旨では、RBAが0.35%の政策金利を25bpもしくは50bp引き上げる案を議論した結果、インフレが既に想定を上回っているとの見方から50bpを選択したことが分かった。高インフレの定着回避に向けて政策正常化が必要との判断が背景にあったことを明らかにした。

総裁は、7月の理事会では25bpと50bpの利上げ幅を選択肢として議論するとの見通しを示し、さらに大幅な利上げを検討する可能性は低いと指摘。講演後の質疑応答で、政策金利のオフィシャルキャッシュレートが現在の0.85%から年末までに4.0%まで引き上げられるとの市場予測について、現実となれば史上最も積極的な金融引き締めになるが「可能性はあまり高くない」と述べた。

市場はすぐさま反応。7月の75bp利上げの可能性は排除され、年末の金利見通しは引き下げられた。ただ、年末時点の金利は依然として3.5%と予測されている。

総裁は、実質賃金が減少し、高騰していた住宅価格が軟化していることから、RBAは借入コストの上昇に対して家計支出がどのように反応するかを注視すると強調した。

また、インフレ期待が2─3%程度で定着し、現在の物価上昇が将来のインフレ上昇期待につながらないようにすることが重要と指摘。「金利上昇は、ここで果たすべき役割を担っている。それは経済がモノやサービスを生産する能力に応じて、支出が幅広く伸びるのを支援することだ」と述べた。

ロイター
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