ニュース速報

ワールド

新型コロナ発生巡るイタリア研究に疑念の声、「追加調査必要」

2020年11月19日(木)00時45分

イタリアの国立がん研究所(INT)が同国では新型コロナウイルスが昨年9月時点ですでに循環していたとの研究を発表したことを受け、欧米の一部科学者の間ではさらなる調査を求める声が高まっている。ナポリで18日撮影(2020年 ロイター/CIRO DE LUCA)

[ローマ 18日 ロイター] - イタリアの国立がん研究所(INT)が同国では新型コロナウイルスが昨年9月時点ですでに循環していたとの研究を発表したことを受け、欧米の一部科学者の間ではさらなる調査を求める声が高まっている。

世界保健機関(WHO)は、新型コロナとCOVID-19(新型コロナ感染症)は昨年12月に中国中部の武漢で初めて感染流行が報告されるまで知られていなかったとしている。

イタリアでの最初の感染者は、今年2月21日に北部ロンバルディア州にあるミラノ近くの小都市で確認されたが、INTの科学誌に掲載された研究は、昨年9月から今年3月までに肺がん検査に応じた健康な959人のボランティアのうち、11.6%が2月よりはるか以前に新型コロナの抗体を形成していたと報告した。

INTの研究が正しければ、新型コロナがいつ、どこで発生したのかという疑問が生じることになるが、複数の科学者からは追加調査が必要との声が出ている。

英レディング大学のマーク・パゲル教授は「こうした研究結果は報告する価値があるが、ほとんどの場合、さらなる検査を実施し追跡調査を行う必要がある」と指摘。「研究の参加者は全員無症状だった。参加者の大半が55─65歳で喫煙歴があるにもかかわらずだ。彼らは通常、新型コロナ感染症で重症化するリスクが高いグループに属するため、全員が無症状だったのは不可解だ」と述べた。

同研究の共同執筆者は、研究チームが追加調査を計画しているとし、世界中の科学者に協力を呼び掛けている。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:調整局面入りの米国株、一段安の瀬戸際か

ワールド

原油先物は反発、ウクライナ停戦合意なお不透明

ワールド

コロンビア大、親パレスチナデモで建物占拠の学生処分

ワールド

エアプサン火災、補助バッテリーのショートが原因か=
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中