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米ファイザー、コロナワクチン95%有効 クリスマス前の配布も

2020年11月19日(木)13時27分

米製薬大手ファイザーは18日、独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックと共同開発する新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で95%の予防効果が確認され、重篤な副作用も見られなかったとする最終結果を発表した。写真はイメージ。10月撮影(2020年 ロイター/DADO RUVIC)

[フランクフルト 18日 ロイター] - 米製薬大手ファイザーは18日、独バイオ医薬ベンチャーのビオンテック <22UAy.F>と共同開発する新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)で95%の予防効果が確認され、重篤な副作用も見られなかったとする最終結果を発表した。米欧で12月中にも緊急使用許可が承認される可能性がある。

ファイザーは2カ月分の安全データもそろっているとし、数日以内に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請すると表明。FDAの諮問委員会が12月中にも治験データを検討する見込みとした。

ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)はロイターテレビに対し、FDAから12月前半、もしくは同月後半の早い時期に緊急使用許可の承認を得られる可能性があり、欧州連合(EU)の条件付き使用許可も12月後半に得られるだろうと予想。

「全てがうまく行けば、12月後半には承認が得られ、クリスマス前の配布開始が可能になる」と述べた。

ある関係筋は、諮問委の検討会が12月8─10日に予定されているが、日程は変更される可能性もあると話した。これについて、FDAからのコメントは得られていない。

テンプル大学(フィラデルフィア)の生物学者エンリコ・ブッチ氏は「人類史上初めて、ウイルスの配列解析からワクチンの大規模治験実施までわずか1年足らずで成し遂げた。しかも全く新しい技術に基づいている」とした上で「きょうは特別な日だ」と語った。

ファイザーとビオンテックが開発するワクチン「BNT162b2」はメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づくもの。遺伝子を人工的に合成するため、短期間で大量のワクチンを製造できる利点がある。ファイザーは今月9日、同ワクチンの有効率が90%を超えたと発表していた。

ファイザーによると、4万3000人を超える治験参加者のうち、170人が新型ウイルス感染症(COVID-19)に感染。感染者のうちワクチンの接種を受けていたのは8人にとどまり、残りはプラセボ(偽薬)の接種を受けていた。このことから、有効率が95%だったと確認されたとした。

また、感染して重症となった被験者10人のうち、プラセボではなくワクチンの接種を受けていたのは1人のみだった。

リスクが高いとされる65歳以上の年齢層でも有効率は94%を超え、ファイザーはワクチンの効果は人種や年齢を問わず一様だったとしている。

副作用については、おおむね軽度ですぐに解消したと報告。ワクチン接種を受けた被験者の2%超が疲労感を訴えたとした。

ファイザーとビオンテックは世界中の保健当局にデータを提出するとともに、査読(ピアレビュー)を受けた論文を科学誌に提出するとしている。

リスク認識などが専門のケンブリッジ大学のデービッド・スピーゲルハルター教授は、治験結果について「これは驚異的な結果で、安全性データは良好なようだ」と述べた。

ファイザーのブーラCEOは「世界中で毎日何十万人も感染している中、安全で効果的なワクチンを世界に届けることが急務だ」と強調した。

同社は、年内に2500万人分に当たる5000万回分のワクチンを製造し、2021年には最大で13億回分を製造する予定だと改めて表明した。

同社のワクチンはマイナス70度以下の超低温で保存する必要があるが、通常の冷蔵庫でも最大5日間は保存可能という。

コロナワクチンを巡っては、バイオ医薬大手の米モデルナが16日、94.5%の効果が治験で確認されたとする暫定結果を発表。また、英アストラゼネカと米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も年内に治験結果を発表する予定。

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