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ベネズエラ産原油運ぶタンカー、荷降ろし先見つからず 米制裁響く
6月24日、ベネズエラの約2カ月分の生産に相当する原油を積んだ複数のタンカーが沖合での待機を余儀なくされていることが分かった。ベネズエラ国営石油会社PDVSAの資料などから判明したもので、世界中で製油所が米制裁に違反するのを恐れ、受け入れを拒んでいるという。写真はPDVSAのロゴが書かれたガソリンスタンド。2014年8月29日、カラカスで撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)
[メキシコ市/シンガポール 24日 ロイター] - ベネズエラの約2カ月分の生産に相当する原油を積んだ複数のタンカーが沖合での待機を余儀なくされていることが業界筋の話やベネズエラ国営石油会社PDVSAの資料、船舶データで明らかになった。世界中で製油所が米制裁に違反するのを恐れ、受け入れを拒んでいるからだ。
米国は産油国ベネズエラの左派マドゥロ政権の主要な収入源を断つため同国の石油産業への制裁を強化しており、同国の原油輸出は70年余りぶりの低水準にある。
米政府は今月、PDVSAの石油取引への関与で海運会社や商社を相次いで制裁対象に指定しており、さらに追加する可能性も示唆している。
リフィニティブ・アイコンのデータによると、計1810万バレルのベネズエラ産原油を運ぶ少なくとも16隻のタンカーが世界各地で沖合に待機を続けている。現在のベネズエラの生産量では、ほぼ2カ月分に相当する。
一部は複数の港を回ったが、半年以上も積み荷の石油を降ろせずにいる。
石油は買い手が決まっていない状態でタンカーに積み出されることはあまりない。買い手がいないのにタンカーで運ばれている石油は総じて問題があると見なされ、割安価格で取引される。
タンカーは荷降ろしが1日延期されるごとに多額の滞船料がかかる。海運筋によると、ベネズエラ産原油を運ぶタンカーの1日当たりの運賃は少なくとも3万ドルに上る。
PDVSAの顧客として登録されているある石油会社の幹部は「これは買い手を見つけるための3度目の試みだ」と明かした。同社はベネズエラ産重油を1月に積み出したが、制裁の影響で売却先を見つけられずにいる。
同幹部によると、アフリカでは120日以上分の滞船料を支払う義務が生じた。