ニュース速報

ワールド

インタビュー:出光、アジア新興国で給油所の展開に意欲

2018年06月01日(金)00時41分

 6月1日、出光興産の木藤俊一社長がロイターのインタビューに応じた。写真は都内の本社で5月21日撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 1日 ロイター] - 出光興産<5019.T>の木藤俊一社長はロイターのインタビューで、ガソリンなど燃料油の海外販売で、今後大きな需要が見込まれるメコン地域での給油所の展開に意欲を示し、買収や資本参加も含めた参入を検討していると語った。

少子高齢化やハイブリッド車などの普及で、国内のガソリン需要が大幅に減少すると見込まれるなか、同社はアジアを中心とする海外市場で燃料油の販売を強化していく方針だ。木藤社長は2030年には国内のガソリン需要は現状から3割から4割程度減る見通しだとする一方、アジアではまだ需要は伸びると説明する。

メコン地域では、出光がクウェート国際石油などとベトナムで建設した製油所で生産を開始。同国ではすでに給油所を2カ所開設している。

木藤社長は、ベトナムでは今後、10カ所程度、立地条件の違うところで給油所を設置し、採算性などの検証を進め、同国での本格展開を検討すると述べた。

そのうえで「カンボジアやミャンマー、ラオスでも同様に、どのような形で参入するのがよいのか検討をしている。買収や資本参加、提携というのが効率的なのではと思う」と語った。

また、超長期的な検討課題として、インドネシアとフィリピンも挙げた。

同社が3月に発表した2020年度を最終年度とする中期経営計画では、ニソンを除く海外での燃料油販売を20年度に2100万キロリットル(現状は1300万キロリットル)にする目標を打ち出している。

海外市場での成長とともに同社が力を入れているのは、燃料油などのコア事業以外の新規ビジネスだ。木藤社長は、足元の収益をしっかり上げながらも、同時に将来への変化への対応が必要と強調。

その1つとして、電気自動車に使われるリチウムイオン電池関連を挙げる。同社は全固体リチウムイオン電池の主要素材である全固体電解質の開発に取り組んでいる。

「極めて高性能なものを開発すれば、自動車メーカーが採用し、その結果、ガソリンの需要が縮まるかもしれない。それはそれでいいのではないかと思う」と木藤社長は語る。

出光昭介名誉会長らが反対している昭和シェル石油<5002.T>との経営統合計画について、木藤社長は「創業家との話し合いは代理人を通じてもろもろの検討はしているものの、大きな進展はない」とした。

同社が九州電力<9508.T>、東京ガスと検討している千葉県袖ヶ浦市の石炭火力発電所建設計画については「石炭火力の新設に環境省を中心に待ったがかかり、大変厳しい状況にあるのは一般的に言える」としながらも、「われわれとしてはニュートラルに1年後のFID(最終投資決定)にむけて検討している状態だ」と述べるにとどめた。

(浦中大我 月森修 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

景気判断据え置き、「企業収益」は21カ月ぶり下方修

ワールド

10年前不明のマレーシア機を再捜索へ、政府が探査会

ビジネス

焦点:異論根強い「高い最低賃金目標」、政権浮揚の突

ビジネス

シャープ、ソフトバンクに堺工場の一部売却 約100
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    「均等法第一世代」独身で昇進を続けた女性が役職定…
  • 8
    クッキーモンスター、アウディで高速道路を疾走...ス…
  • 9
    米電子偵察機「コブラボール」が日本海上空を連日飛…
  • 10
    日産とホンダの経営統合と日本経済の空洞化を考える
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 8
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 9
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 10
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中