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EUが英離脱協定案公表、北アイルランドの関税同盟残留も
2月28日、英国のEU離脱時の条件を定める離脱協定の草案を公表し、EU加盟国アイルランドと国境を接する英領北アイルランドについて、適切な解決策がない場合は英本土と別にEUの関税同盟に残す可能性に言及した。写真は英国旗とEU旗。ロンドンで1月撮影(2018年 ロイター/Toby Melville)
[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)は28日、英国のEU離脱時の条件を定める離脱協定の草案を公表し、EU加盟国アイルランドと国境を接する英領北アイルランドについて、適切な解決策がない場合は英本土と別にEUの関税同盟に残す可能性に言及した。
英国と北アイルランドからは強い反発の声が出ている。
草案は、北アイルランドに「英EU共通規制地域」を設置し、「北アイルランドをEU関税地域の一部と見なす」可能性を示した。
EUのバルニエ首席交渉官は記者会見で、同草案はアイルランド島にハードボーダー(物理的な壁)が導入されることを回避する意図があり、北アイルランドと英国の他地域間の憲法上の関係を弱めることにはならないと主張。
メイ英首相は英議会でEUの草案について、「憲法が規定する英国の統一性を脅かす」内容だと批判し、到底同意はできないと述べた。
北アイルランドの保守派地域政党、民主統一党(DUP)もまた、「憲法上容認できない」と非難し、北アイルランドが英本土から離されることで「経済面で壊滅的」な結果を招くと警告した。メイ首相率いる与党保守党は、DUPと閣外協力関係にある。
バルニエ氏は、英国とのこれまでの暫定合意を文書にしただけで、驚くべき内容ではないと強調。英国が12月に示した方針に沿った代替案を提示すれば変更も可能だと述べた。
アイルランドのコベニー外相は、EUの離脱協定案は離脱条件に関する12月の英国との合意に「完全に忠実」だと述べ、バルニエ氏に同調した。
英国は13カ月後にEUを離脱する。バルニエ氏は「時間があまりない」と述べ、メイ英首相に交渉のペースを上げるように呼びかけた。また、英国が協定を結ぶことなくEUを離脱する場合に備えて、「あらゆる状況への対応を用意している」とも語った。
メイ首相は3月2日にEU離脱後のEUとの通商関係の方針を示す。メイ氏は英国の結束を守ると表明。EUと関税同盟を結ぶ可能性は改めて否定した。
メイ氏の報道官は「ここ数週間では総じて取り組みが進展している」と指摘。「これは単なる草案で、合意できない部分については今後数カ月間かけて協議する」とした。
草案は、英EU共同委員会が協定内容の実施を監視するとしたが、紛争解決の最終的な管轄権は欧州司法裁判所に委ねた。
バルニエ氏は、北アイルランドと英本土間の貿易で新たに検査を実施する可能性はあると認めたが、「境界線」が設けられることは決してないと述べた。
メイ氏が2日にEUと部分的に共通の規制を維持する意向を示すと見込まれていることについては「いいとこ取りは許されない」と述べ、こうした方針を受け入れない構えを再び示した。
移行期間に関する協議は「大きな隔たり」が依然あるとし、合意は「既定路線ではない」との見方を示した。双方は3月の合意を目指している。
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