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アングル:ヒラリー氏「対抗馬なし」最大の弱点、攻撃集中は必至

2015年04月13日(月)17時17分

 4月12日、米民主党のヒラリー・クリントン前国務長官は、2016年の大統領選への出馬を正式表明した。写真はクリントン氏の支持者。ニューヨークで11日撮影(2015年 ロイター/Darren Ornitz)

[12日 ロイター] - 米民主党のヒラリー・クリントン前国務長官は12日、2016年の大統領選への出馬を正式表明した。クリントン氏にとって良いニュースは、民主党の指名を争う有力な対抗馬がいないことだ。そして、同氏にとって悪いニュースもまた、民主党内に有力な対抗馬がいないことだ。

民主党の大統領候補に指名されるのはほぼ確実な情勢だが、逆に共和党候補らからの攻撃がただ1人に集中するというリスクもある。

過去の民主党の選挙戦で参謀役を務めた経験が豊富な政治コンサルタント、ジョー・トリッピー氏は「共和党候補は全員、われこそが最も『反ヒラリー』だと証明しようとするだろう」と話す。

クリントン氏にとっての最大の課題は、共和党候補者からの絶え間ない攻撃にさらされつつも、勢いを維持できるかという点だろう。

共和党からの大統領選出馬が見込まれるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事と、すでに出馬を正式に表明したランド・ポール上院議員は、出馬表明したばかりのクリントン氏に対する批判を早くも開始した。

ブッシュ氏はツイートで「われわれの時はヒラリーよりうまく(出馬表明を)しなければならない」と投稿。一方、ニューヨーク市のデブラシオ市長(民主党)は、NBCの番組「ミート・ザ・プレス」で、まずクリントン氏のビジョンを聞きたいとし、同氏への支持は留保した。

クリントン氏の選挙戦では、共和党からの攻撃への防戦一方になり、メディアで前向きな報道されにくくなるというリスクがある。

反クリントンを掲げるPAC(政治行動委員会)「アメリカ・ライジング」のスポークスマン、ジェフ・ベクデル氏は「クリントン氏は防戦するばかりになるだろう。まさにわれわれが望むことだ」と語った。

<武器はグローバルな経験>

専門家らは、ロイターに対して、クリントン氏は国務長官時代に培ったグローバルな経験を生かし、大局的な視野に立った政策提言をすべきだと話す。クリントン氏の提言は、共和党上院議員のテッド・クルーズ氏やマルコ・ルビオ氏には真似のできない重みを持つとしている。

前述のトリッピー氏は、クリントン氏が持つ「最大の武器は、ほぼ大統領レベルの政策を提示できる能力だ」と指摘。

同じく民主党の選挙戦で助言した経験を持つテッド・ディバイン氏は、クリントン氏は気候変動や選挙資金改革、経済分野でインパクトを与えられると話す。「前向きな報道をしてもらう最良の方法は、新たな政策を提唱すること」とし、「選挙戦に勝つということは将来の話だが、そこへたどり着く近道は大統領に選出された際に導入する政策を語ることだ」と述べた。

クリントン氏は出馬表明に当たり、「普通の米国人の擁護者」になるとの決意を表明した。しかし、具体的な政策提言は行わなかった。

クリントン氏の選挙戦を仕切るジョン・ポデスタ氏はツイッターへの投稿で、クリントン氏の政策の最優先事項として「労働者世帯の成功を支援すること」や気候変動を食い止めることなどを挙げた。

<有力な対抗馬なし>

世論調査によると、クリントン氏への支持率にはやや陰りも見られる。ロイター/イプソス調査によると、今年1月中旬の段階では、民主支持者の50%がクリンソン氏を第1の候補に挙げていたが、先週に実施された調査では、その比率は38%まで低下している。

民主党でほかに出馬の可能性があるのは、マーティン・オマリー前メリーランド州知事、ジム・ウェッブ前上院議員(バージニア州)、リンカーン・チェイフィー前ロードアイランド州知事ら数名。出馬したとしても、知名度や資金力、組織力で大幅に見劣りすることは否めない。

*写真を差し替えて再送します。

(James Oliphant記者 翻訳:吉川彩 編集:橋本俊樹)

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